ニッケイ新聞 2012年7月19日付け
イタリア系ブラジル人の友人が料理を振舞うというので喜んでいたらパスタを茹でた後に、モーリョを作り出すのでイライラ。レストランでも麺のコシは重視されない。伊系移民の比率が多いアルゼンチンでも同様だ。本紙座談会『ブラジル文化形成を語ろう』(3月30日付け)で岸和田仁氏の「乾麺文化の普及は100年ほど」との解説で腑に落ちた▼日系にもあてはめてみる。何故これほどに麺が不味いのか。様々なイベントではうどんは間違いなくあるが間違いなく感心しない。コシが身上のさぬきうどんが全国区になったのは最近だが、ソバをうるさくいいだしたのも意外に歴史は浅いのかも知れない▼先日、リベルダーデの食堂でラーメンを頼むと、麺が二種類あるという。店主の勧める方を食べてみるとこれが美味い。好みがあるから何ともいえないが日本で出てきても全く遜色ない。どこのものだろうと思っていたら、MNプロポリス社(モジ市)の松田典仁社長が18日、同市でオープンさせた『MNラーメン』(Rua Coro-nel Souza Franco, 813, Centro)で提供するものだという▼食品研究所を持つ同社でスープの研究を重ね、製麺機も日本から独自に取り寄せた。その取り組みは毎週土曜日に掲載している『ラーメン文化の普及を目指し』(全4回)で紹介している通りだ。日本食レストランへの卸売りも始めるという▼ラーメンは当地でも人気。リベルダーデの専門店に並ぶ客らが、どう評価するか楽しみだ。ともあれ、寿司、刺身一辺倒だった日本食が、牛丼など大衆食も含めてバラエティ豊かになってきたのは喜ばしい。(剛)