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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年7月27日付け

 「今回も日系乱立ですよ…」。さる日系下議の補佐官は来社するなり、ため息をついた。たしかにサンパウロ市議(55議席)の日系候補を数えると30人もいる。候補者の絞込みが行われておらず、「なすがまま」の立候補だ▼現職の野村アウレリオと神谷牛太郎に加え、必勝を願う小林ヴィットル(故小林パウロ下議子息)や、最多票を誇る連邦下議を妻に持つ大田正高、羽藤ジョルジ州議の息子ジョルジ・ヴァトゥチンと二世議員やら妻の七光り議員の存在が目立つ▼党により異なるが、サンパウロ市議当選には3万5千票は必要とされる。実績からすれば「4〜5人」が当選すれば良い結果だが、日系票を食い合って共倒れになって「2〜3人」という可能性もある。日系以外の支持者を多く持つ候補ほど有利なのが現状だ▼注目すべきは中国系、韓国系らしき4候補が入っていることだ。あちらのコムニダーデが成長し、切実に政治家を欲する段階になったからに違いない▼サンパウロ州内の645市中、34市に37人の市長候補が立っている。なかでもリンス市、セッチ・バーラス市、スザノ市は2人の日系市長候補が合い争う激戦区だ。さらにノロエステ線の各町は〃移民の故郷〃だけに、ペライラ・バレットからラヴィニア、ヴァルパライゾなど多くの町に日系候補が立っており、実に壮観だ▼泣いても笑っても10月7日の投票日に全てが決まる。ここでより多くの市長を抑えた政党が、2年後の州知事・大統領選挙を制する。今週からロンドン五輪が始まるが、世界から注目を浴びるリオ五輪時の大統領は誰になるのか——その選挙戦はすでに始まっている。(深)