ニッケイ新聞 2012年7月28日付け
ジェネラル・モータース(GM)のサンジョゼ・ドス・カンポス工場が閉鎖され、従業員が解雇される可能性が出てきた事で、政府が自動車向けの工業製品税(IPI)の減免税処置の停止を示唆し始めたと27日付伯字紙が報じた。
5月に導入されたIPI減免税は、景気減速やクレジットの引き締めで販売が落ち込み在庫がだぶついた自動車産業救済処置だが、8月31日の期限を待たずに停止される可能性が出てきた。
欧州を中心とした経済危機が長引く中、ブラジル経済の牽引役であるべき工業界の業績回復をなんとしてでも図りたいジウマ政権が、業界支援策の減免税処置取り消しを示唆するというのは異常事態だが、これは、減免税導入時に提示した雇用維持という条件が果たされなくなる可能性が現実化しているためだ。
事の発端は、GMのサンジョゼ工場がコルサの生産を他の工場に回す事を決め、工場閉鎖と従業員2千人の解雇を恐れるサンジョゼ・ドス・カンポスの金属労組が行政介入を要請した事だ。
GMは減免税導入と前後して希望退職者を募っており、6月は365人が退職したが、この上にサンジョゼ工場が閉鎖され、約2千人が解雇されるなら、減免税導入の条件である雇用の維持は果たされてない事になるから、業界への減免税処置を停止するというのが政府側の意向だ。
GMのサンジョゼ工場では、コルサの生産停止発表直後の24日に施設破壊などを恐れる会社が工場の門を閉ざすなど、労使交渉は難航。労働省や労働検察局も事情聴取と調整に乗り出し、一定期間休職させて職業訓練を受けさせ休職後は優先的に職場復帰させる、他の工場に配置換えなどの案を提示しているが、交渉は難航。事態を重く見た政府は26日、GMと全国自動車工業会(Anfavea)の代表者を呼び、31日に会談を行う事を決めた。
自動車業界の業績不振は5月の在庫が43日分まで膨れ上がっていた事でも明らかだが、減免税導入で、6月の在庫は29日分に減少。乗用車と軽商用車の生産は4月以降横ばい状態だが、4月は24万5千台まで落ちていた販売数は、6月に34万1千台に増えた。
ただし、トラック製造業では、3交代を2交代にする企業や解雇を行った企業も出ている。
一方、地理統計院(IBGE)が26日に発表した6月の雇用統計によると、全国一雇用数が多い大サンパウロ市圏の失業率は5月より0・3%ポイント高い6・5%。工業従事者を中心に3万6千人が失職したが概ね安定。レシフェも5・9%が6・3%となり、失業者が少し増えた。ベロ・オリゾンテとポルト・アレグレは5・1%と4・5%が4・5%と4%になり失業率がやや低下。サルバドールは8%が7・9%で横ばい。IBGE職員がスト中のリオは今回の統計に含まれていない。