ニッケイ新聞 2012年8月1日付け
愛機ニコンD90を颯爽とかまえ、パチリ、パチリ——。第3アリアンサ85周年式典会場で、凛々しく写真を撮っていたカメラマンは小野保さん(80、第1アリアンサ生まれ)だ。
「入植当時から撮っていた。頭を布の中に突っ込んでガチャとやるやつとか、蛇腹で乾板使うやつとか。昔は写真を撮る人が20人も、30人もいて賑やかだった。クラブまであったけど今残っているのは僕だけ」と寂しげに微笑む。今までに撮りためた貴重な写真の数々はアルバム70冊分にもなる。
「母はルッサンビーラ駅から40キロも行李を担いでここまで歩いてきたと言っていた。アリアンサの歴史を残さないと」と真剣なまなざしに戻り、再びファインダーをのぞいた。いつの日かきっと、移住地の歴史が凝縮された写真集ができるに違いない。(深)