クラコランジア=人格無視の取締り禁止=検察が軍警の行為に待った
ニッケイ新聞 2012年8月2日付け
サンパウロ州地裁は7月31日、サンパウロ州軍警に、サンパウロ市中央部のクラコランジアに出入りする麻薬中毒者の強制立退きなどを差し止める命令を下した。1日付伯字紙が報じている。
エミリオ・ミグリアーノ・ネット判事の暫定令は、サンパウロ州軍警は1日より、麻薬常用者に恥辱心を与えたり名誉や人格を傷つけたりするような取り扱いが禁じられ、常用者たちが公道に止まるのを禁じたりクラコランジア以外の地域への移動を強要することは出来ないとしており、麻薬吸引や密売の現場以外での麻薬常用者の取り調べが実質的に禁じられた。
今回の判決では、1月3日にはじまったクラコランジアの取締りに対し、州検察局が起こした社会活動が勝訴した。検察局保健課のアルトゥール・フィーリョ氏は「クラコランジアはつぶれずに他の地域に移動しただけ。現状の対策ではうまくいかない」と語り、都市住居課のマウリシオ・ロペス氏は「常用者への暴力を正当化させた〃麻薬取り引き撲滅〃は何ら果されていない」と州の対策を批判している。
一方、軍警のロベルヴァル・フェレイラ・フランサ司令官は「この取締りで850人の常用者が治療を受けている。人の命を救うのは社会のためにならないのか?」と強い疑問を示し、「今後も取締りは続ける」と言う。州法務局のエロイーザ・アルーダ氏は「検察は州の行動に疑問を投げかけるだけで、問題解決のための打開案を示しもしない」と批判した。
判決に従わなかった場合、軍警は1日あたり1万レアルの罰金を支払わなくてはならない。検察側は個々の軍警司令官の責任も問う予定で、知事や局長も関与していると判断した場合は州検事総長の手に託す意向だ。
軍警によると、クラコランジアで取締りにあたっている軍警の数は、ピーク時の287人から70人に激減している。