ニッケイ新聞 2012年8月4日付け
2日夜、バンデイランテス局でサンパウロ市市長選候補者による最初のテレビ討論会が行われた。3日付伯字紙が報じている。
今回の公開討論会の中心となったのは民主社会党(PSDB)のジョゼ・セーラ氏と労働者党(PT)のフェルナンド・ハダジ氏だった。
カルロス・ジアンナジ氏(自由社会党・PSOL)はハダジ氏に「目標はクリーンな政治といいつつ、国際警察が起訴しているパウロ・マルフ氏と組むのは矛盾があるのでは」と質問。ハダジ氏は「同盟は個人と結んだわけではなく、ジウマ政権を支持する政党(進歩党・PR)と結んだものだ」と答えた。
ジアンナジ氏はセーラ氏にも、PSDBがメンサロン事件の中心人物の1人であるヴァルデマール・コスタ・ネット氏の所属する共和党(PR)と同盟を組むことについて質問したが、セーラ氏は明確な回答をしなかった。2日から裁判がはじまったメンサロン事件に関しては、ガブリエル・シャリッタ氏(民主運動党・PMDB)やレヴィ・フィデリックス氏(ブラジル労働革命党・PRTB)も言及した。
また、カサビ市長(PSD、2006〜12)やマルタ元市長(PT、2001〜04)の政権に関する議題も白熱。多くの候補が保健問題などを中心に、カサビ政権に批判的な論調で語る中、自らの市長職(2004〜06年)を引き継いだ現市長と同盟を組むセーラ氏は、ここ数年の市政は「私たち」が実現してきたという言い方で自分の実績を強調した。
一方ハダジ氏は、マルタ氏がビリェッテ・ウニコ導入時に交通システムの汚職対策に力を注いだことや連邦政府との関係を強調。セーラ氏が自分の市長時代に救急診療所(AMAs)が建ったと話した際は、「あなたの市政時に完成したAMAだが、作られはじめたのはマルタ政権の時でしょう」と反論した。
セーラ氏とハダジ氏はこの後もマルタ政権に言及。セーラ氏が「マルタ政権を引き継いだときの財政はひどかった。ゴミ税なんてものもやめさせた」と言うと、ハダジ氏は「その代わりに環境車検を課したのもいかがなものか」と反論した。
討論会はすっかり〃PT対PSDB〃の色合いが濃くなり、7月のダッタフォーリャの世論調査で首位のセーラ氏に肉薄する支持を受けたセウソ・ルッソマノ候補(PRB・ブラジル共和党)の立場はすっかり薄くなってしまった。唯一注目されたのは社会大衆党(PPS)のソニーニャ氏から、ルッソマノ氏が2010年のサンパウロ州知事選に出馬した際にマルフ氏と同盟を組んだことを指摘され、当選したあかつきにマルフ氏と絡むつもりはあるかと聞かれたときだった。ルッソマノ氏は「それは全くありえない」と、両者の関係が良くなかったことをほのめかしながら答えた。