ニッケイ新聞 2012年8月8日付け
ペトロブラスが第2四半期に13億レアルの損失を出し13年ぶりの赤字を記録したが、6日にグラッサ・フォステル同社総裁の行った事情説明が功を奏し、同日の同社の株価下落は0・02ポイントで終わった。4〜7日付伯字紙が報じている。
ペトロブラスは3日、第2四半期の収支を発表し、純利益で13億4600万レアルの赤字を計上したことを明らかにした。昨年同期の10億9千万レアルの黒字と比較して大幅な下落で、赤字転落は15億レアルを記録した99年第1四半期以来13年ぶり、その額もそのときに次ぐ2番目の高額となった。
内訳を見ると、純売り上げは68億レアルで、昨年同期を11・4%上回ったが、燃料供給・精製部門が70億レアルの損失を計上。同部門は昨年同期も22億レアルの損失を出したが、赤字幅が71%拡大したほか、「ガス・エネルギー部門」で昨年同期比88%減となる9千万レアルの黒字しか計上できなかったことも響いた。
グラッサ・フォステル総裁は3日、投資家向けの書面で今回の収支結果について説明を行った。文書では、2009年から12年に探索した油田掘削に大型投資を行ったが枯渇状態だったこと、プラットフォーム保守作業のために採掘量が減り原油輸出が減ったこと、維持費の高騰、国内の供給量が足りないガソリンなどの輸入が増えた上、国際価格の高騰する中でも、国内の燃料価格を抑える必要があったことなどを理由にあげた。
グラッサ総裁は同書面で、リオからエスピリトサントにかけて広がるカンポス堆積盆地油田の作業効率の回復と作業コストを下げることで業績改善につとめるとした。
また、6日午前にはグラッサ総裁も理事たちと記者会見を行い、報道陣や経済アナリストたちの前で改めて事情説明。同氏が総裁に就任した今年2月までの油田探索が上手くいってなかったことや連邦政府との連携を密にしつつ燃料価格の調整を行うこと、第3、第4四半期と2013年の業績ではこれまで以上の結果をだすとの肯定的な見通しを表明した。
通常はこういう会見に参加しない総裁自らの事情説明は好感を持って受け止められ、同社の株価下落を最小限にとどめた。アナリストたちにも予想しなかった赤字転落を受け、6日午前10時の同社株価は3日の終値の19・94レより1・05レ安の18・89レアルまで下落したが、会見後は持ち直し、20・23レもつけた後、前日比0・02レ(0・1%)安の19・92レで終わった。
会見では、第2四半期は油田掘削のために27億レアルを投じたと発表されたが、アナリストたちは今回の件でグラッサ総裁がジョゼ・セルジオ・ガブリエリ前総裁からの路線を変更することに決めたと見ている。