ニッケイ新聞 2012年8月10日付け
連邦公務員のストに連邦警察や道路警察が加わり、8州の国道で混乱発生などの事態に、連邦政府が歩み寄りの姿勢を見せはじめた。9日付伯字紙が報じている。
連邦警察は7日、道路警察は8日から給与調整などを求める抗議行動に参加しはじめた。連邦公務員の8割が所属する連邦公務員連合によると、現時点では27の機関で働く連邦公務員35万人がスト参加という。
連邦道路警察は8日、ストの一環として国道を通行する全車を対象とする取調べを敢行。サンパウロ州とリオ州を結ぶヅットラ街道では、リオ方面に向かう3車線中二つを午前8〜11時にグアルーリョスで封鎖、残る車線で全車の取調べを行った。通常この時間帯に止められるのは4台程度なのに、8日はトラック163台が止められ、周辺の渋滞は10kmに及んだ。
道路警察による8日の全車取調べは、午前がサンパウロ州、ゴイアス、パラナ、パルナンブーコ、ミナス・ジェライスの5州、午後はリオ、バイーア、南大河の3州で行われ、各州の国道はのきなみ影響を受けた。9日の国道での全車取調べは全州に広がっている。
連邦警察のストでは空の便やパスポート発行作業に影響が及んでおり、8日は、リオのアントニオ・カルロス・ジョビン空港で国際線利用者を対象に荷物と書類の再点検作業が行われた。9日はサンパウロ州のクンビッカ空港やサントス港でも徹底した取調べを敢行。パスポートの発行作業停滞は15州に広がっている。
連邦公務員のストは長期化しているが、政府は連邦大学教師以外の給与調整には消極的で、スト参加者の賃金カットや賃上げ交渉には応じない意向を表明し、州職員の業務代行も認めた。
連邦公務員の不満は募り、ストは拡大。8日には労働者党(PT)の右腕である中央労組(CUT)の関係者が集会を開き、社会運動関係者との交渉責任者のジルベルト・カルヴァーリョ大統領府総務長官を「裏切り者」呼ばわり。「全ての責任はジウマ大統領にある」と罵倒した上、スト参加者が大統領府前で警官ともみ合いになるという事態も起きた。
このような動きに、政府も歩み寄りの姿勢を見せはじめ、ミリアム・ベルキオル企画相は「現在賃上げを可能にするための財政分析をしている」と釈明。「国際的な経済悪化による打撃が年頭の政府の見通しより大きかったため、賃上げが難しい状態にあった」と政府の立場を説明した。
公務員ストに伴う賃上げ交渉や起訴収支の黒字縮小などの要因で、ジウマ大統領が行おうとしていた景気刺激のための減税処置が遅れざるを得ないのではないかという見方も生まれてきている。