ニッケイ新聞 2012年8月17日付け
サンパウロ州環境審議会(Consema)が、北部海岸のカラグアタトゥーバ(以下、カラグア)とサンセバスチアンを結ぶ高速道路〃コントルノ・スル〃建設のための環境許可を出したと16日付エスタード紙が報じた。
この道路は、カラグア市内に入るタモイオス道(州道99号線)を起点に同市とサンセバスチアン市の北側を走り、サンセバスチアン港の近くでドトール・マノエル・イポリト道(通称リオ—サントス、州道55号線)に繋がる予定だ。
カラグア〜サンセバスチアン間には海岸沿いを走る道路があるが、この道は市街地を通るため、一般車両と輸送トラックなどが混在し、市内の渋滞や輸送能力の低下を招いている。観光シーズンには、タモイオス道を利用する観光客がカラグア市内に出入りするには長時間を要す。
これらの問題解決の鍵と期待されているのが〃コントルノ・スル〃だ。関係者は、同道開通で、市内を通る必要がない観光客や輸送トラックが、信号や速度違反防止用のロンバーダ(凹凸)、歩行者、自転車などを気にせずに移動出来るようになり、一般市民もトラックや観光シーズンにつきものの渋滞に悩まされなくなると胸を張る。
また、サンセバスチアン港で扱う荷物を保管するための倉庫をカラグアに建てられれば、輸送能力の向上と共に、拡張が計画されている同港の物流面でもメリットが大きいという。
一方、海岸部の2市とその背後の山並みの間を縫うように走る高速道路の建設には、「環境より経済を優先させた決断」で「マッタ・アトランチカ(大西洋岸森林地帯)では史上最大の環境破壊になる」と訴えるサンセバスチアン市など、反対者も多い。
〃コントルノ・スル〃建設のための森林伐採面積は37万平方メートル(サンパウロ市の独立記念公園とアクリマソン公園をあわせた広さ)で、計画線上にある水源地や滝、原生林、丘陵などは再生不能な上、放牧地や住宅地も横切る事になる。
一方、建設擁護派は、高速道路の開通で、セーラ・ド・マル州立公園もある北側区域への不法侵入が減り、環境保護に繋がると主張。州環境審議会が出した環境許可は環境浄化技術公社(Cetesb)が提唱した再植林などの環境保護策を踏まえたもので、環境にも十分考慮したという。
全長30・8キロ、総工費16億レアルの〃コントルノ・スル〃は、国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)の環境許可を待って施工計画の作成や入札が行われるが、道路開発公社(DERSA)は既に、カラグア以東7キロ分の〃コントルノ・ノルテ〃建設に向けた環境許可取得を視野において動いている。