ニッケイ新聞 2012年8月23日付け
「ミルク」と聞いてレイチ(牛乳)かと思うのは戦後移民だが、沖縄移民にとっては五穀豊穣をもたらす「弥勒」神のことだ。七福神の恵比寿のような風貌のお面を被り、でっぶりしたお腹を出してゆっくり動く。小禄田原95周年の芸能祭ではこのミルクが舞台の下から登場し、大活躍した。高良幸一さんはそれ目を細めながら見つめ、「こっちにはミルクのお面の型があったので、沖縄戦で焦土になった故郷にお面を作って送った」という。激戦で焼け野原になった沖縄にはお面が焼けてしまったところがあり、祭りが出来ないと困っていたとか。お面一つにユイマールの助け合いの歴史が刻まれている。
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高知県人会青年部が開催した「土佐祭り」では、約30人の非日系の若者が協力した。片山アルナルド同県人会会長によれば、今後は、これまで日系人に限られていた県人会の門戸を県系、日・非日系に関わらず開放するとか。従来客に非日系が多くても、主催側にこれだけ加わるケースは少なかったのでは。新たな日系イベントの一つのモデルとなりそう。
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6月9日付小紙でも開催をお伝えしたものの、本人の体調不良により延期となっていたアリソン・パオリネリ元農務大臣の『ブラジル・セラード開発事業』『ブラジル農業の現在と未来』をテーマとした講演が、9月13日午後7時から広島文化センターで行われることが決まった。調整役の平崎靖之さんは「多くの方々の期待にやっと応えられる」とほっとした様子。興味・関心のある方は同センター(11・3207・5476)まで。