ニッケイ新聞 2012年8月23日付け
「♪ポロロ〜ン」という気の抜けたような心地良さで、ウクレレは世界中で人気のある楽器だ。当地カラオケでも1960年代のハワイアンブームの残り香を身にまとったかつての〃若大将〃の歌声も聞かれる。クラシックやラテンの奏法を取り入れたハーブ・オオタ、様々なジャンルで活躍するジェイク・シマブクロなど、日系人らがウクレレの可能性を広げてきた▼今日8月23日は「ウクレレの日」。ハワイ州政府が、1879年にポルトガル人が移民登録を行なった日を記念したものだ。実は、ウクレレはポルトガルの楽器ブラギーニャが祖先。ハワイの材木などを使うことで独自の発展を遂げた。サンバやパゴッジで使うカバキーニョも同様の歴史があるとか。もちろん調弦は違う。ウクレレは「ハ・ナ・コ・さ〜ん(ソドミラ)」と合わせる▼ハワイには、ミックスプレートという料理があり、労働中の移民らが昼食時に各国の料理を分け合い食べたことが起源と言われる。ザワワとそよぐサトウキビの下で食と音楽の文化交流。ブラジルのカフェザールでも同じような光景が見られただろうか▼今年7月、横浜でイベント「第13回ウクレレピクニック」が開かれ、同じ曲を5分間、大人数で弾き続けるギネス記録(スウェーデン、1547人)を大きく上回る2134人で塗り替えた。ハワイでも二度失敗に終わっているだけに、日本のウクレレ人口の厚みを感じる。多くの移民を送り出した横浜で、移民の手により変容してきたウクレレが奏でる音色に、ハワイの青い空だけでなく、移民、ポルトガルやブラジルの親戚に思いを馳せた参加者はいたろうか。(剛)