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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2012年8月29日付け

 先日、不思議な30〜40代の日本人女性たちに出会った。最近まで日本で銀行などに勤めていたが、「事情があって住むつもりでブラジルに来た」という。しかも女性ばかり11人と聞き〃謎めいた集団だ〃と強く印象に残った▼その後、関係筋の話を総合すると、彼女らは中国に由来する新興宗教の信者で、5月に「ブラジルに行って布教すべし」との〃神のお告げ〃を受け、会社を辞めて7月末に渡ってきたらしい。とにかく凄まじい行動力だ▼日本では長引く不況の中で世界金融危機に続いて東日本大震災が起き、とどめを刺すように福島原発事故となり、ここ最近は領土問題…。畳みかけるようにストレスが溜まる状況が日本には溢れている。思えばここ数年来、日本企業の進出や新工場開所式も相次いでいる▼日本移民の約半数が集中した大正末期からの10年間は、昭和大恐慌の真っ只中だった。息苦しい世相になると、地球の反対側に活路とか、何か清浄なものがある気がするのは日本人の心理傾向なのだろうか—と考え込んだ。というのも日本の宗教は当地に聖地をよく作るという話を以前書いた。生長の家、PL、世界救世教しかり、昨年から本門仏立宗も建設しているからだ▼日本から個人や団体が来る事は嬉しい限りだが、好景気は長続きしなさそうだ。当国経済は昨年9月から減速し、今年は後退を思わせる局面まで見せている▼景気てこ入れのために基準金利をもう一段切り下げるとの見方が強いが、副作用としてインフレ高進も避けられない。不況になっても会社を撤退させず、〃11人の女性〃同様、凄まじい行動力で活路を見出して欲しい。(深)