ニッケイ新聞 2012年8月31日付け
各国の移民が集まる神奈川県横浜市鶴見区で沖縄系日系ブラジル人の食文化を研究する安井大輔さん(32、神奈川)が6日に来伯、帰国前日の21日に本紙を訪れた。
社会学専門で、京都大学大学院文学研究科の博士課程3年目。同日午後、月1度開催されているサンパウロ人文科学研究所の勉強会で「多文化混淆地域の食文化—接触領域における文化変容とエスニック関係」というテーマで発表を行った。
安井さんによれば、研究対象の鶴見区は人口20数万人のうち、ブラジル、ボリビア、中国、韓国など8千〜1万人の外国人がいる。もともと沖縄出身者や二、三世が集住する地でもあり、沖縄県人会がありエイサーや沖縄角力(すもう)が行われるなど、沖縄文化が強く根付く。
昨今では、沖縄県ブラジル人系子弟も多く移り住み、さらに多様化しているという。「様々な文化が混在する、〃マルチエスニックゾーン(文化接触領域)〃と呼ばれる地域」と話す。
来伯は初。今回は予備調査としてサンパウロ市の県人会やカンポ・グランデを訪れ、沖縄ソバなど当地コロニアの食文化に触れた。「来年また調査で訪れたい。こちらのコロニアについて本格的に調べられれば」と意欲的に語った。