サンパウロ州商業協会(ACSP)のガストン・ヴィジガル経済研究所(IEGV)が22日、サンパウロ州内陸部の小売り販売はサンパウロ市ほど落ち込まなかったとの調査結果を発表したと23日付エスタード紙が報じた。
商品流通サービス税に関するサンパウロ州財務局のデータを分析した結果、サンパウロ州内陸部での1~5月の小売り販売は昨年同期比で4・7%縮小したが、同期間中のサンパウロ市での小売り販売は2倍以上となる10・4%縮小した事が判明した。州全体の小売り販売は昨年同期比6・5%減となっている。
ACSPのマルセル・ソリメオ経済主任は「サンパウロ市の落ち込みは内陸部と比べて顕著」と判断。同種の調査は今回が初めてだが、IEGVでは今後、月毎の動きを継続して調査する意向だ。
サンパウロ州の経済活動は工場移転などに伴って内陸部に広がる傾向にあり、平均給与額がより大きな工業界の労働市場も内陸部に移動。工業界が低調とはいえ、工場進出などに伴う雇用創出で所得も向上した内陸部では小売りが下支えされ、販売額縮小も小さくて済んだ。農業生産が好調な事も内陸部での消費の落ち込みを小幅に抑えるのを助けたと見られている。
一方、サンパウロ市では工業界の就業人数が減り、平均給与の少ないサービス業従事者が増えて全体としての購買力が低下。インフレが止まらない中で、購買力が落ちれば小売り販売の縮小は避け難く、内陸部との消費動向の差が開く可能性がある。