ニッケイ新聞 2012年9月4日付け
地理統計院(IBGE)が8月31日、2012年第2四半期の国内総生産(GDP)は前期比0・4%の伸びに止まり、8四半期連続して1%以下の伸び率となったと発表。今年度のGDP成長見通しも1・5%に下方修正された。1日付伯字紙が報じている。
第2四半期の成長率の内訳を見てみると、最大の伸びを示したのは農畜産業の4・9%だが、この部門がGDP全体に占める割合は5・5%に過ぎず、全体を押し上げるには足りなかった。
他の部門では、公共支出が1・1%、家庭消費が0・6%の伸びを示したが、投資は0・7%減。工業は2009年第3四半期以来最悪となる2・5%減となった。政府は昨年末から工業部門を活性化させるべく、経済基本金利(Selic)の切下げや工業製品税(IPI)の引下げなどを行い消費の活性化につとめてきたが、期待したほどの効果は表れなかった。また、輸出が09年の第1四半期以降最悪の3・9%減となったことも全体の足を引っ張った。
これでブラジルは2010年の第3四半期から8四半期連続で前期比1%未満のGDP上昇となったが、これはブラジルが1994年7月にレアルプランを導入して以来、初めてのことだ。また、第2四半期の成長率が低迷したことで、2012年全体のGDPの伸び率は、2カ月前にギド・マンテガ財務相が「冗談だろう」と言っていた1・5%へと下方修正せざるを得なくなった。
第2四半期のGDPを昨年同期と比較した場合の伸び率は0・5%となるが、これは欧州諸国を除いた国々で最も低いもののひとつとなった。BRICS諸国で見ると、中国は7・6%、インドは5・5%、ロシアは4%、南アフリカ共和国は3・2%で、ブラジルは最低。また、ラ米諸国の中でも、チリの5・5%、ベネズエラの5・4%、メキシコの4・1%などに水を開けられ、最低となっている。
国際通貨基金(IMF)は今年1月、ブラジルのGDPは英国を抜き世界6位と発表したが、この経済停滞で、ブラジルは年内にも7位降格を余儀なくされると見ている。
これに対しマンテガ財務相は8月31日、景気刺激策の効果が表れていないことを認めつつも、「もうすでに最悪の時期は脱した。景気はこれからよくなってくるはずだ」との楽観的な発言を行ったが、同時に「そこまで劇的な好転ではないが」とも付け加えた。企業家たちのあいだでは、投資部門の回復が起こるのは2013年の中盤くらいではないかと見ている。
また、ジウマ大統領は「今後も消費刺激策は継続する」との意向を8月30日の経済社会開発審議会で示した。ジウマ大統領は今週中にも最低限10%の電気料金の切下げプランを発表。今月中旬には港や空港の新たな民営化プランも公表されることになっている。