ニッケイ新聞 2012年9月6日付け
コロンビアのフアン・マヌエル・サントス大統領は4日にテレビ演説を行い、コロンビア革命軍(FARC)との和平協定に調印したことを発表し、10月からノルウェー政府を仲介として同首都オスロで和平会談をはじめることを発表した。5日付伯字紙が報じている。
サントス大統領は「〃数年〃ではなく〃数カ月〃で妥結したい」とし、「わが国民が暴力にあふれた世の中で生きるのを終わらせたい」と語った。ノルウェーでの会談が終わった後は、キューバのハバナに場所を移して会談を続行する。また、いずれの会談においても、ベネズエラとチリの政府代表が立会人として出席する。
FARCは1959年のキューバ革命に影響を受けて、1964年に結成された反政府武装左翼ゲリラだ。コロンビアのみならず、国境を接するブラジルやベネズエラなどにも影響を及ぼしてきた。
1990年代には麻薬組織と結びつき強大化し構成員も1万8千人にまで拡大し、国内の政治家や国外の一般人を人質にした誘拐行為なども行い世界的な脅威となっていた。
だが、2007年に就任したアルバロ・ウリベ前大統領が徹底した武力抗戦を行った結果、FARCの重要幹部が次々と死亡したこともあり弱体化し勢力も8千人まで縮小。2007年8月からはベネズエラ政府も加わってFARCに捕らえられた人質の解放(ブラジルも2009年に参加)も進んでいた。
コロンビア政府とFARCはアンドレス・パストラーナ大統領時代の1999〜2002年にも和平交渉を試み、非武装地域まで設けていたが、和平交渉担当の上院議員の拉致などが行われたことで不調に終わっていた。サントス大統領は4日の演説で、「交渉が完全に終わるまではゲリラへの軍事取締りは止めない」ことを強調した。また、和平協約にも非武装地帯の設置などは盛り込まれていない。
だが、コロンビアの検察局は、交渉の席に着くFARCゲリラの逮捕を差し止めることを発表した。また、FARCのマウリシオ・ハラミージョ司令官はキューバのハバナで声明を発表し、「今回の会談がコロンビアでの安定して永続する平和の建設につながれば」と語っている。
またサントス大統領は、テレビ演説の前日、ジウマ大統領に電話をかけて、約10分間にわたりFARCとの和平交渉の手順についての説明を行っていた。