ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

USP法学部=路上生活者を強制立退き=学生のあいだで賛否両論

ニッケイ新聞 2012年9月12日付け

 サンパウロ市セントロにあるサンパウロ総合大学(USP)法学部の校舎の前で寝ていた路上生活者たちが9日、サンパウロ市都市警備隊(GCM)により立退きさせられた。11日付エスタード紙が報じている。
 9日午前6時頃、ラルゴ・デ・サンフランシスコの同法学部の前で生活していた40人ほどの路上生活者が、警備隊によって強制撤去させられた。そのうちの何人かは反抗し、2人が警察署に連行された。
 警備隊は翌10日も同校舎内にパトカーを10台駐車させ、路上生活者を近づけないように警備した。この取締りの責任者ジョゼ・アントニオ・デ・オリヴェイラ司令官によると、「これは路上生活者そのものを対象にしたものではなく、USPやラルゴ・デ・サンフランシスコの公的建築物の破損を防ぐために行われているもの。無期限にこの地域に常駐する予定だ」という。
 同学生によると、今年初頭に軍警がクラコランジアの取り締まりを行うようになって以降、同地の路上生活者は急増しており、校内での窃盗や強盗も増えていたという。
 だが、今回の路上生活者取り締まりは同学生の間でも賛否両論を呼んでいる。警備隊が常駐することに感謝を示す人がいる一方で、「路上生活者との間は良好で、うまく共存できているのに」と憤る学生もいる。
 この地域に1年間生活し、9日に強制立退きにあった夫婦によると「寝起きを蹴飛ばされた上に、からしスプレーまでまかれた。私たちは衣服も持っていけないまま追い出された。なぜ暴力を振るわれなければならないの。私たちは穏やかなのに」と怒りを表明した。
 検察局の人権課は、警備隊の行為の事実関係を調べ、場合によっては取り締まりの法的差し押さえを求める方針だ。警備隊は、「私たちは避難所の提案をしたが、襲われ、腕に噛みつかれさえもした」と路上生活者の行為を問題視し、暴力行為の行使を否定した。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button