ニッケイ新聞 2012年9月13日付け
連邦政府は11日、アナ・デ・オランダ文化相を更迭し、元サンパウロ市市長のマルタ・スプリシー上院議員(労働者党=PT)を後任に迎えることを発表した。マルタ上議は当初、不正蓄財疑惑を持たれているマルフ元市長のPP党と組んだPTを批判して、フェルナンド・ハダジ氏(PT)のサンパウロ市市長選のキャンペーンに協力をしぶっていたが、最近になって参加しはじめたばかりだった。12日付伯字紙が報じている。
マルタ氏は11日、大統領府での会見で「文化相に指名されたことに大変驚いている」と発言し、意外であったことを強調した上で、これがハダジ候補の選挙キャンペーン参加への見返りとしての職務であるとの認識を否定した。
マルタ氏就任に対し、ハダジ氏も「ジウマの性格を知っている人なら、そんな安直な交換条件を出す人でないことはわかる。仮にそうだとしたら、もっと前に起こっていたはずだ」と援護射撃をした。
だがマルタ氏の入閣の噂は、昨年10月にルーラ前大統領とジウマ大統領が、マルタ氏のPTからのサンパウロ市市長立候補を断念させたときから、交換条件として「ありうる」と言われていた。教育相就任も今年1月からささやかれていたが、本人が都市相を望んでいたために実現しなかったという。マルタ氏はハダジ氏の選挙キャンペーン参加を10カ月拒みつづけてきたが、8月22日に大統領府に招かれたあと、27日にルーラ前大統領とサンパウロ市で会合し、その際にハダジ氏支援を決めていた。
マルタ文化相就任で空席となるサンパウロ州上院議員のポストには、サンパウロ市市会議員のアントニオ・カルロス・ロドリゲス氏(PR・共和党)が就任しそうな雲行きだ。
ここにもPTの思わくが働いていると言われる。PRは連立与党に参加していたが、昨年7月に同党のアルフレッド・ナシメント運輸大臣が更迭されたのを不服とし、サンパウロ市市長選ではPTの政敵である民主社会党(PSDB)のセーラ氏支持に回っていた。PTを支持させる懐柔策とも見られている。
一方、更迭されたアナ・デ・オランダ氏は有名歌手シコ・ブアルキの妹で、無所属で昨年1月のジウマ政権誕生時から文化相に就任していたが、閣内での評価も低く、更迭は時間の問題とされていた。大統領は当初、同氏更迭を選挙後の来年初頭に考えていたという。結果的に、マルタ氏との交換条件が疑われるタイミングでの更迭発表となった。これでジウマ政権下での大臣辞任は13人目となった。
同じく11日、ダッタフォーリャによる最新のサンパウロ市市長選の調査結果が発表され、支持率1位のセウソ・ルッソマノ氏(ブラジル共和党・PRB)が支持率を3%下げ32%となり、3位のハダジ氏が1%上昇して17%となり、2位のセーラ氏との差を3%ポイントに詰めた。この調査はマルタ氏がハダジ氏応援の選挙CMに出演しはじめた直後のものだった。