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援協=どうなった?「神内プロジェクト」=グアルーリョス市新病院に1億円か

ニッケイ新聞 2012年9月20日付け

 神内氏からの〃最後の支援〃はいつ—? サンパウロ日伯援護協会(菊地義治会長)の名誉会長で、日本国際協力財団の神内良一理事長から特別資金援助の申し出を受け、援協内に「神内プロジェクト実行委員会」が発足したのは昨年6月のことだ。
 援協は、神内氏から過去に約11億円もの支援を受け、あらゆる事業に役立ててきた。同月にあった理事会では「神内氏が納得する事業案を提出できれば〃相当額〃の援助が受けられる見込み」と説明があった。
 委員会発足後、さっそく事業案が練られ、「サンミゲル・アルカンジョ市に建設中のSUS病院」に加え、「精神障害者デイケアセンターと自閉症児療養学級を併設した施設」「リハビリセンターを併設した長期入院患者病棟」の新設案がまとまった。
 案が発表された翌月7月の理事会で、同委員会は「これらのうち一つに神内氏からの承認を受けたい」と説明し、神内氏に提出された。
 しかし—。「どれも承認されなかった」と話す同委員長でもある菊地会長によれば、神内氏の意向は「資金はあくまで移住者に役立つ事業」。提出された案はそれに見合うものではないために再提出を求められていたことを明かした。
 そこで、神内氏に提出する新たな事業案として浮上しているのが、6月末に市と設立の合意が交わされたグアルーリョス市の新病院だ(7月4日付本紙で詳報)。
 菊地会長によれば再提出は10月を予定しており「承認されれば、約1億円の資金援助が受けられる見込み」と想定金額も明らかにした。
 援協傘下の各老人ホームでは現在、ケアが困難な寝たきりや車椅子の高齢者の存在が目立ち始めている。あけぼのホームには10人ほど、サントス厚生ホームやカンポスさくらホームにもすでに2、3人いるという。
 菊地会長はじめ委員会としては、医療施設ではないホームで世話が困難な入居者をこの病院に収容し、医療行為を施すことで、移住者の〃終の棲家〃として機能させたい考えだという。
 高齢者を受け入れる施設が不足していた同市からの要請を受けたもので、援協としては公益福祉団体の認可申請にも一利あるプロジェクトだったが、前述のように移住者を支援する施設として機能させるため、「病床数の3、4割を日本人、または日系人に確保するとの条件を付けている」と説明する。
 「移住者の支援にもなり、ブラジル社会への貢献にもなる。確実な一歩一歩を踏んでいる」。承認されれば、昨今のコロニアでは稀に見る金額の移住者支援を目前にし、菊地会長は自信を見せている。