ニッケイ新聞 2012年9月26日付け
第4回サンパウロ市市長選立候補者による討論会が24日夜に行なわれ、支持率2位のフェルナンド・ハダジ候補(労働者党・PT)は1位のセウソ・ルッソマノ候補(ブラジル共和党・PRB)に対しはじめて攻撃を行い、激しい舌戦となる一幕が見られた。25日伯字紙が報じている。
TVガゼッタ局とネット会社テーラの主催でおこなわれた第4回目の討論会は、これまで平穏だったハダジ氏が、ルッソマノ氏への攻撃を激化する展開となった。
第一部でハダジ氏は、ジアナッジ候補(社会自由連合・PSOL)からの質問に応えるついでに、「市政を行なう人は具体的な政策に言及するべきだ」と具体的な公約を述べないルッソマノ氏を批判した。
第3部でハダジ氏が、ルッソマノ氏が提唱するバスと電車の新料金体制について質問すると議論は白熱した。走行距離に比例した課金システムを提案するルッソマノ氏に対し、ハダジ氏は「サンパウロ市の富裕層はセントロに近い地域に住んでいるのに、その人から安い金を徴収して、遠方に住む貧乏な人に余計にお金を払わせる不公平なシステムだ」と指摘した。
すると、これまでどの候補に対しても温和な物言いを続けてきたルッソマノ氏は声を荒げ、「あなたは間違っている。あなたはビレッチ・ウニコで年に4億5千万レアルの助成金を上げることができるというが、誰も3レアル以上払いたがらないような現在のシステムでどうやってそんな金額をあげることが可能なのか」と切り返した。
一方、セーラ候補は今回も直接的なルッソマノ氏への攻撃を避けたが、第4部でのレヴィ・フィデリックス候補(労働革命党・PRTB)からルッソマノ氏の交通料金考案についてどう思うかと聞かれた際に、「足も頭も使わないで思いついたような財政感覚だ」とやんわりと批判した。
今回のハダジ氏の方向転換は、20日に判明したダッタフォーリャの世論調査でPT地盤のサンパウロ市極東部と極南部の支持をルッソマノ氏から取り戻すためとフォーリャ紙は分析している。また同紙は、今回ルッソマノ氏がハダジ氏に攻撃的な態度を取ったのは、ハダジ氏を2次投票に進ませないためだと見ている。2次投票の際、ハダジ氏にはジウマ大統領による全面的な応援が予想され、票に大きな影響を及ぼして挽回する可能性があるからだ。
ハダジ氏とセーラ氏は選挙CMで共に、ルッソマノ氏をサンパウロ市市長時代(1996〜2000年)に13の汚職絡みの裁判を受けたセウソ・ピッタ氏と比較する戦略を取りはじめた。
ハダジ氏のCMでは「ピッタ氏並の手腕のルッソマノ氏が市長になるとサンパウロ市は殺される」とし、セーラ氏のCMでは「ピッタというダメ市長にはマルフという親玉がいた。その親玉は以前ルッソマノについていたが、今はハダジだ」というメッセージを送っている。