ニッケイ新聞 2012年9月27日付け
今年4月からブラジル各地の日系企業で研修を行なうブラジル日本交流協会(二宮正人会長)の本年度研修生14人が21日、サンパウロ州ノロエステ線グァララペス市(以下グ市)を訪れ、同市の姉妹都市で、東日本大震災の被災地である宮城県名取市の佐々木一十郎市長の親書をエデニルソン・デ・アルメイダ市長に手渡した。来被災者らが作った鞠14個も携え、市庁舎近くの友好記念公園(Praca Natori)同市文協では、ボランティア活動に関する発表を行なった。
同市長は答書に加え、一人一人に市の公式賓客認定証を贈ったうえで「震災の報で市民は深い悲しみに包まれた。今回の訪問を心から感謝したい」と話した。
戦前に名取市からグ市に移住した故佐藤正吉さんが73年、親書を持参してふるさとを訪れたことが契機で両市関係者の交流が始まり、79年に姉妹都市提携を結んだ。文書や写真交換などが続いたが、2005年から交流は途絶えていた。
昨年10月に、ボランティア活動を行なうOB・OGから両市が姉妹都市関係にあることを知った研修生らの「被災市の現状を伝えたい」との思いがきっかけ。
同日、昨年12月と今年3月のボランティア活動に関して写真などを交え、ポ語で約30分にまとめ発表した。
間芝太郎さん(75、二世)は「津波が街を襲う動画には涙が出た。私たちにとって兄弟である彼らのことを思うと本当に心が痛む。それでも前向きに頑張っている現地の様子を伺い知れて良かった」と感想を語り、涙を流す来場者の姿もあった。
訪問団の吉村竜団長(24、長野)は「交流再開に向け一歩踏み出す足がかりとなれば。今回得たものを名取市に持ち帰り、出来ることをやっていきたい」と力強く語った。