ニッケイ新聞 2012年9月28日付け
サンパウロ市で殺人事件が増加したと発表された後、サンパウロ州軍警は特別巡回機動隊(ROTA)の司令官交代を発表したが、新しく指名されたのは、カランジル—刑務所暴動の時に囚人大量殺人に絡んでいたとして告訴されている人物だった。26〜27日付伯字紙が報じている。
サンパウロ州軍警は27日、計77人の役職クラスの人事異動を発表したが、それに伴い同機動隊のサルヴァドール・マジア司令官の退任を発表した。同司令官は11年11月に就任し、今年5月28日のサンパウロ市東部ペーニャでの銃撃戦以来、州都第一コマンド(PCC)との抗争を激化させたことで知られ、11日にもサンパウロ州ヴァルゼア・パウリスタでPCC絡みだと目される8人の犯罪者の殺害を行なっていた。今年の1〜5月におけるROTAによる殺人も前年同時期に比べ45%上昇している。
また、25日に発表された統計で、8月のサンパウロ市での殺人事件の発生が昨年同月より15・2%増加したことも明らかとなった。今年2月まで殺人事件は前年比で減少を続けていたが、3月から上昇に転じ、1〜8月までの殺人事件は前年同期の15・4%の増加となっている。
だが、後任人事は関係者を驚かせるものだった。新任のニヴァウド・セーザル・レスチーヴォ氏は、1992年にサンパウロ市のカランジルー刑務所で起きた111人の囚人を殺害した事件の被告として知られている人物だったからだ。同事件の被告が過去に同機動隊司令官に就任した前例はなかった。
サンパウロ州公安局のアントニオ・フェレイラ・ピント局長は今回の人事を「持ち回り的なもの」と答え、前日に発表された殺人事件のデータと無関係であることを強調した。
その一方でフェレイラ局長はサンパウロ州に2万5千人の軍警を増強し、州内の取り締まりを強化することも発表した。