ニッケイ新聞 2012年10月6日付け
全国市長選挙の投票があす7日に迫ったが、サンパウロ市市長選は、セウソ・ルッソマノ候補(ブラジル共和党・PRB)が直前になって支持率を落としてきたことで一気に混戦の様相を呈している。また、サンパウロ州を地盤としてきた民主社会党(PSDB)やメンサロン事件で揺れる労働者党(PT)がサンパウロ州の主要都市で市長の座を失う恐れも出てきている。5日付伯字紙が報じている。
3日に発表されたダッタフォーリャの世論調査で、ルッソマノ氏は一時35%あった支持率を25%に落とし、2位のジョゼ・セーラ候補(PSDB、23%)、3位のフェルナンド・ハダジ候補(PT、19%)、4位のガブリエル・シャリッタ候補(民主運動党・PMDB、11%)との差が一気に縮った。
また、「ルッソマノ氏に投票」と答えた人の中で「投票する候補を変えるかもしれない」と答えた人は26%いることも判明した。代わりに投票する人としてはハダジ氏が31%、シャリッタ氏とセーラ氏が17%ずつとなっている。
4日に終わった選挙CM終盤でハダジ氏はルッソマノ氏を、同氏が進歩党(PP)に所属していた頃にセウソ・ピッタ元市長(1997〜2000年)の汚職に絡んでいたこと、同氏が提唱している走行区間比例制による交通料金の値上げを批判していた。これに対しルッソマノ氏も、自身のCMでハダジ氏を「嘘つき」と称するなど反撃を行なっていた。
ルッソマノ氏の支持率急落を受け、PRBと同盟を組んでいるブラジル労働党(PTB)が不満を表示し、2次投票に向け選挙参謀の交代を要求したが、PRB側は選挙戦略の変更に難色を示している。PTBは、ルッソマノ氏とウニベルサル教会との関係が論争の焦点となっている時に、同教のエジル・マセド司教が同氏との関係を裏付けるような文書をブログに掲載したことにも不満を示している。
一方、アウキミンサンパウロ州知事(PSDB)には、セーラ氏が2位につけているサンパウロ市以外の都市の市長選も気がかりだ。PSDBや同氏推薦の候補が優勢な都市はカンピーナス、アララクアラ、ピラシカーバ、サンジョゼ・ド・リオ・プレット、サントス、イタペチニンガなどだが、PSDBが16年間市政を担ってきたサンジョゼ・ドス・カンポスでは、カルリーニョス・アルメイダ氏(PT)が現職のアレッシャンドレ・ブランコ市長を大きくリード。ソロカバも、現職のアントニオ・C・パヌンシオ市長がレナット・アマリー候補(PMDB)と接戦ながらリードを許している。
PTも一部で苦戦しており、マリリアでは、メンサロン事件公判で注目されているトフォリ最高裁判事の兄のジョゼ・チシアノ・ディアス・トフォリ現市長がヴィニシウス・カマリーニャ候補(ブラジル社会党・PSB)に、ルーラ氏がサンパウロ州の市長選キャンペーンで唯一訪れたカンピーナスでは、マルシオ・ポシュマン候補がジョナス・ドニゼッテ候補(PSB)にリードを許している。