ニッケイ新聞 2012年10月6日付け
県連ふるさと巡りは移民80周年で始まり、90周年では日本祭りが開始された。百周年では何かと思ったらスピーチコンテスト(07年開始)だった▼先日、大阪大学の大学院留学中の非日系人が来社し、立派な日本語を話すのに驚いた。聞けば、件のコンテストの第1回優勝者だった。あの時、賞品として得た日本往復航空券で初訪日を果たし、現在は留学中で日本人女性と結婚したという。このような人材の登竜門の役割を果たしている意義は大きい▼本来のコロニアの大黒柱・文協の活動は、会長選挙以外はあまり邦字紙を飾らなくなり、その分、県連が気を吐いている。今月半ばに出発する『東北被災地応援ツアー』も好企画だ▼参加者にはコロニアを代表する気持ちで被災地に行ってもらい、「日系社会が応援している」との気持ちを存分に伝えてきてほしい。加えて、これを機に福島、岩手、宮城から震災孤児や親を亡くした高校生などをブラジルに2週間ぐらい招待する事業を始められないものか▼県連基金から往復旅券を負担し、県人会が滞在を保証する。学校の夏休みを利用して来伯してもらい、県人宅に宿泊し、日本祭りの県人会出店を手伝ってもらったらいい。リオとかイグアスの滝ぐらいの観光も必要だろう。被災した郷土食の専門家を招待して、その技を当地に伝えてもらうというのも面白い▼この度の応援ツアーが各県を訪れた時に、そんな継続支援事業を発表できれば最高のプレゼントになる。日本を応援したいというコロニアの意志がよく伝わるのではないか。今までさんざ日本から招待してもらった。震災を機に日本から招聘する事業が始まることの意義は大きい。(深)