ニッケイ新聞 2012年10月10日付け
大志万学院の4カ語お話大会を見て、生徒全員が多言語をペラペラになることの凄さに改めて驚いた。ポ語は当然だが、小学2年生がすでに日本語と英語を使って人前で話ができ、6年生ならさらにスペイン語が加わるのだ▼不肖コラム子と比べて申し訳ないが、日本の小学高学年で塾に通い始め、中高、大学の計10年以上も勉強しても使い物にならない自分の英語力と比べて愕然とする思いだった。凄い英才教育を受けていると痛感した▼一方、気になったこともある。日系生徒の多くは手を前で組んだまま、微動だにさせない。総合優勝者は自然な身振りが説得力のある表現を生み、審査員から好評をえた。校長は「身体表現は自由なんですが、日系人は4世、5世になっても苦手な子がいる」と苦笑いする▼子供が日本語学校や日系コレジオで学ぶことで、ブラジル社会で将来有利になってほしい。日本的しつけの結果、引っ込み思案や内気になったり、自己主張が弱くなるようでは、むしろマイナスといえる▼感情をぶつけて怒鳴ってくるブラジル人を受け止めて説得し、さらに翻意させるまでの粘り強さが必要だ。真面目一辺倒の子供は優秀な会社幹部や官僚にはなれても、大物社長や政治家にはなれない。いくら語学が達者でも生徒の大半にとっては「手段」に過ぎない。その手段を使って何を実現するかが大事だ▼大志万学院はもちろんスザノ日伯学園、アルモニア、赤間学院など日語教育を取り入れた〃日伯学園〃は幾つかあるが、それぞれが特徴を活かして伸びていくことが望ましい。この生徒の中から20年後の日系社会、ブラジルを支える人材がどれだけ輩出されか楽しみだ。(深)