電子機器から金属回収=ソロカバにゴミの処理場=国外処理は今後不要に?
ニッケイ新聞 2012年10月30日付け
2010年のゴミ回収法制定後も国外に送られている電子機器類のゴミ処理を、国内で行う事を可能とする、金属を含んだ再生資源ゴミ処理場がサンパウロ州ソロカバに建設されると28日付エスタード紙が報じた。
携帯電話などの電子機器には、プラスチックや陶器といった非金属材料と、金、銅、アルミなどの金属材料が使われているが、使わなくなった電子機器から金属を取り出すための国内技術は実用レベルに至っておらず、金属とプラスチックが混在するゴミの処理はベルギーやドイツ、英国などで行われている。
ところが、2013年上半期に、サンパウロ州ソロカバに金属類も処理できる精製所が建設される事になり、携帯電話なども国内で最後まで処理出来る可能性が出てきた。これが実現すれば再生資源の有効利用も拡大する。
電子機器の中で最も身近な携帯電話は、国内で2億5千万個使われており、故障や買い替えなどによって捨てられる数も半端ではない。携帯電話の平均寿命は22カ月と回転が速いが、回収システム確立への最終合意が成立していない事や消費者側の情報不足などもあり、2200トンが一般ゴミとして捨てられているという。
携帯電話の45%はプラスチックで陶器の部分は10%。それ以外の非金属部分は5%で、残る40%は金属、内半分は銅、残りは金やアルミ、その他の金属類だ。
これらの金属の回収率は担当する企業の技術力にもよるが、1トンの電子ゴミからは200〜300グラムの金が精製できるといわれており、全国から出る電子ゴミ(年間1億トン)からは金だけで年25億レアル分が回収できる計算になる。言い換えれば、ブラジルは現在、最低25億レアルの金属資源を失っている事になるが、そんな現状の打開策がソロカバに新設される精製所だ。
携帯電話などの電子ゴミは各メーカーの直営店やスポーツジム(アカデミア)、薬局、パン屋などに設けられたポストに集められ、メーカーが30〜35日毎に回収。個数を数えた後は、充電器やバッテリー、コードなどに分類してから破砕して精製過程にかけると、プラスチックと金属類とに区別される。
ソロカバの精製所の技術部門は、シンガポールに本社がありアマゾナス州マナウスに工場を持つFlextoronics社が担当。全メーカーの電子機器を扱い、当面は月250トンのゴミを処理する予定だ。この量は国内で流通する携帯電話の45%に当たる。
国内での電子ゴミの処理はやはりシンガポールに本社のあるCimelia社も担当しており、本国で処理するためにブラジルから送り出す電子ゴミは月400トン分だ。