W杯期間中、日本人旅行者保護のため日系主要団体が立ち上げた「ブラジルワールドカップ日本人訪問者サンパウロ支援委員会」は15日、在聖総領事公邸で解散慰労会を行い、福嶌教輝総領事をはじめ日系団体幹部ら約11人が出席し、支援活動の成果を祝った。
同支援委員会のサイトによる情報提供に加え、空港やスタジアム付近で案内人を置くなどのナタル、レシフェ、クイアバなど各開催地の地元日系団体の活動が日本人旅行者を助けたようだ。
会に出席した秋田県人会・川合昭会長によれば委員会発足当時は「最悪の場合なら10人は死者が出るかもと覚悟していた」というからかなり大げさだが、「重大被害が一件もなかったことは奇跡」とみなで喜び合ったそうだ。
事実、在聖総領事館によれば、期間中の犯罪被害報告は強盗が6件、窃盗が28件で死傷者はなかった。日本人旅行者の統計は未だ出ていないが、FIFAは各試合で試合国サポーターに会場収容人数の8%分のチケットを割り当てていた。
リーグ戦の3試合の収容人員の8%を合計すると1万560席となり、複数試合を観戦した客が多かったことを考えても、ブラジル観光省が予測した7千人程度は来ていたようだ。7千人のうち被害数が34件なら約0・5%に過ぎず、〃奇跡〃的数字かもしれない。
日本人旅行者の被害が少なかった原因としては、「日本国内で事前にブラジルの治安の悪さを取り扱う報道が多かったこと」が要因としてあげられそうだ。日本人旅行者の岡部愛さん(38、山形)はコロンビア戦の観戦会の時、「日本での危険報道は過熱気味だったけど、逆に、それがなかったら危なかったと思う」と滞伯一週間の実感を話した。