「ファビオ・ハラノは〃抗議行動のシンボル〃として逮捕された。実際に罪を犯して捕まった訳ではない」。真相究明委員会のサンパウロ州小委員会で委員長を務めるアドリアーノ・ジオゴ州議(PT)は、本紙ポ語版ニッパキ紙の取材にそう話した。釈放を求める弁護側の二度目の訴えを、22日に裁判所は認めない判断を下した。6月23日にパウリスタ大通りであった抗議行動で逮捕された原野秀樹さんの話だ▼「ジャポネースといえば真面目でちゃんとしているが、悪い奴はとことん悪いというのがイメージがある。そんなイメージ通りの日本人を捕まえる必要があった。それでファビオを逮捕したが、捕まえる人間を間違えた」と同議員は続ける。抗議運動を抑圧するための〃生贄〃として選ばれたのが、ブラジル人でなく日系人だったのは、そういう理由があったからだという見方だ▼いかにも暴力行為をしていそうな人物を捕まえるよりも、「隠れた悪者の大物」が実はジャポネースで、それを逮捕したら話題になると思ったか。それとも州議が言うように「人種差別による逮捕」だったのか…。原野さんは警察の取調べに対し「日系人への差別的な態度が少し感じられた」と話していたことも踏まえれば、その両方がありうる気がする▼逮捕から1カ月、リベルダーデ・パラ・ヒデキ運動はUSP関係者らを中心に続けられている。先週末リベルダーデであった七夕祭りに2人の学生が訪れ、短冊に「ヒデキに自由を」と書いたのもその一つだ。エレーナさんによれば学生だけでなく大学教授、有名な法律家からも支援の声が届いているという。早々に人身保護状令が出ればいいのだが。(詩)