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原野秀樹さん拘留事件=二度目の釈放請求を棄却=「息子は平和的なデモだけ」

 【既報関連】「ファビオは何のデモも主導していない。参加しているだけ。それに平和的なデモは罪ではない」。逮捕から1カ月経った23日、本紙ポ語版ジョルナル・ニッパキ紙の電話取材に、原野ファビオ秀樹さん(27、四世)の母エレーナさんは、そう訴えた。息子を「穏やかな性格で、平和主義者。良い世界を求めて闘う理想家」と説明した。
 6月23日夜、サンパウロ市パウリスタ大通りで起きたW杯反対デモで、爆発物を所持していたなどとして原野さんが逮捕されてから1カ月が過ぎた。原野さんは未だトレメンベーの拘置所に拘留されたままだが、釈放を求める動きは活発に行われている。
 エレーナさんは「今はどうすることもできない」と落胆を隠せない様子ながら、「彼を知る人は皆、彼が平和的なデモしかしないことを知っている。息子は無罪。家族全員がそう信じている」と毅然とした口調で語った。エレーナさんは、毎週土曜日には拘置所に面会に訪れているという。
 エスピリト・サント州ヴィトリア生まれで、17歳で出聖。サンパウロ総合大学工学部にトップの成績で合格し、環境工学科から社会学部に転学した。現在はジャーナリズム学科に所属し、ブタンタン・キャンパスの医療センターに勤務する。
 ニュースサイト「Terra」22日付記事によれば、サンパウロ州裁判所は同日、未決拘留判決の取り下げ、すなわち原野さんの釈放を求める弁護側の訴えを棄却した。同裁判所は21日、爆発物所持、犯罪への関与など検察からの四つの罪の起訴状を受理していた。
 ただし、同じくニッパキ紙の取材に応じた原野さんの弁護人エドアルド・グリーンハウギ氏によれば、別途、人身保護令状を求める訴えをしており、その判決は来週にも出る見込みだという。人身保護令状が出れば、即時釈放されることになる。
 同氏によれば22日の棄却と、この人身保護令状を出すか出さないかの審理は関係しないという。「拘留し続ける明確な理由がない。(人身保護令状は)必ず出るものと信じている」と話している。