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軍警殺害計画メモ発見=パライゾポリスの捜査で=主犯は仮出所後3カ月逃亡

ニッケイ新聞 2012年11月1日付け

 サンパウロ市南部パライゾポリスのファヴェーラで10月29日、州都第一コマンド(PCC)のかくれ家に対する軍警の捜索がはじまり、軍警殺害計画を立てていた現在服役中の主犯の手下を逮捕した。30日には殺害予定の軍警と市警、計40人ほどのリストも発見された。10月30〜31日付伯字紙が報じている。
 10月29日、パライゾポリスのファヴェーラに突撃隊なども含む600人の軍警が立ち入り、州保安局が麻薬の密売や犯罪の撲滅を目的とした飽和作戦と発表した。だが、PCCと軍警の対立でサンパウロ市での9月の殺人事件が前年同月比96%増加した中、この地域での殺人事件は1件しか起きておらず、強盗や窃盗の件数も8月より減っていたため、この発表は当初、意外な目で受け止められた。
 一方、盗聴記録などから、最近のパライゾポリスはPCCの運び屋やモルンビー地区で盗みを働いた犯罪者の隠れがとなっていたことを知る警察は、29日だけで、大麻130キロ、コカイン6キロなどを押収。同時に、同地区の支部長的存在だったエジソン・サントス容疑者(通称ネネー)を逮捕した。
 アントニオ・フェレイラ・ピント保安局長は、軍警によるパライゾポリス占拠は、麻薬運びの取り締まりだけではなく、サンパウロ州内で急増中の殺人事件の輪を断ち切るための第一歩であると表明。これを裏付けるように、ネネーは警察に対し「PCC構成員1人の逮捕につき軍警1人、1人の死につき軍警2人を殺害するよう命じられていた」と自白した。
 この司令は、サンパウロ州軍警殺害計画の主犯者と目され、現在服役中のフランシスコ・アントニオ・セザーリオ・ダ・シウヴァ(通称・ピアウイー)容疑者によって出されたものだという。ピアウイーは2000年から強盗などの罪で20回ほど逮捕されている犯罪者で、今年5月、母の日に一時的な仮釈放となって後にそのまま逃亡。8月26日にサンタカタリーナ州イタジャイーで連邦警察に再逮捕された。
 軍警は30日に、ピアウイーが率いるグループによるものと見られる軍警殺害計画のメモも発見した。メモは、パライゾポリスから逃亡しようとしていた17歳の双子が持っていた旅行カバンの中から発見され、州内の軍警や市警少なくとも40人の名前と、職場から自宅までの経路や余暇を過ごす場所、体つきなどが詳細に記してあった。今年6月からサンパウロ州で頻発する軍警を狙った殺害事件はほとんどが勤務時間外に起きている。
 州保安局では、軍警によるパライゾポリスの包囲と取り締まりを最低でも1カ月続ける予定だ。