ニッケイ新聞 2012年11月7日付け
ブラジルの独立190周年にあたる9月7日から始まったポルトガル交流年の取組みがサンパウロ市でも本格化し、来年7月までは、至るところでポルトガルにまつわるイベント展開と5日付エスタード紙が報じている。
ポルトガル交流年は、「歴史の本で語られている以上に近代化された、現代のポルトガルの姿を伝えたい」と願うポルトガル政府が主導、ブラジル文化省などが協力して展開され、ブラジルでは「ブラジルにおけるポルトガル年」、ポルトガルでは「ポルトガルにおけるブラジル年」として各種のイベントが開催されている。
サンパウロ市のイベントの一つは、地下鉄3駅で5日から始まった展示会だ。東部のコリンチャンス/イタケーラ駅では同国の観光名所などを紹介。同国は世界観光機関から「世界観光20大名所」に指定されており、リスボンやアルガルヴェ、マデイラ島といった観光名所やワイン、宮殿などの写真が展示されている。
同駅では、ポルトガルと縁の深いサッカー関係者の軌跡を追う展示も行なわれ、2003〜08年にポルトガル代表を指揮した元ブラジル代表のフェリポン監督や、ブラジル出身だがポルトガルに帰化して同国代表入りしたデコやリエジソンといった選手も紹介している。
東部アルトゥル・アルヴィン駅では、バカリャウやパステル・デ・ベレンといったポルトガル伝統料理や、同国の伝統音楽、宗教性を伝える展示が行われている。
中央部のパライゾ駅では「ポルトガルとブラジルのつながり」をテーマにした展示会が行なわれている。目玉となっているのは、2008年に発行された、ポルトガル王室がナポレオン率いるフランス軍から逃れブラジルに脱出して200周年を記念した切手と、ポルトガル植民地時代に定着したブラジルの祝祭儀式に関する展示などだ。
中央部ヴァレ・ド・アニャンガバウにあり、サンパウロ市の観光名所のひとつでもある郵便局ビルでは11〜18日に「第21回ポルトガル系ブラジル人切手展示会」が開かれる。1966年にリオで始まりポルトガルとブラジルの文化を結ぶイベントとしては最古の展示会は、伯ポ両国で交互開催。今年は211人の収集家が5万点の切手などを持ち寄る。
また15日にはポルトガルの人気歌手ジョアン・ピーレスがサンパウロ市中央部アウグスタ通りのスタジオSPで、17日には同じく同国の人気歌手スザーナ・トラヴァッソスがブラジル人バイオリン奏者のシコ・サライヴァと東部SESCベレンジーニョで公演を行なう。
出版関係ではレヤ出版が、ジョアン・リカルド・ペドロ、ヌーノ・カマルネイロ、パトリシア・ポルテラといった新人だが注目のポルトガル人作家の本を発売する。