ニッケイ新聞 2012年11月7日付け
2009年12月にサンパウロ市東部の地下鉄イタケーラ駅で保護されたハイチ出身の少年が、12日にフランス領ギアナに出発すると6日付エスタード紙が報じた。
貧困家庭を助けるためにハイチからフランス領ギアナに単身で渡った母が、父を亡くした後、祖父と暮らす息子を自分の所に連れてきてもらうために金を渡したのは、不法入国の斡旋や人身売買を行うコヨーテ。1900ドルを受け取って少年をハイチから連れ出したコヨーテは、ペルーとアルゼンチン経由でブラジルに入り、さらに金を要求したが、母親がそれ以上払えないと知ると少年をサンパウロ市に放置した。
少年にはブラジル市民権とブラジルの旅券が与えられたが、フランス政府がハイチ政府発行の旅券を要求した事や旅券発行に必要な書類が揃わない事などで母との再会は遅れに遅れたが、ブラジル外務省が2年以上働きかけた事で、今年6月にハイチ政府が旅券を発行。正式な旅券を手にした事でフランス政府もビザを出し、母との再会実現となった。
少年がブラジルを旅立つのは12日の月曜日。ブラジルにいる間はポルトガル語の生活だったため、母親とはコンピューターを使って毎週対談できるよう配慮したにも拘らず、ハイチ語を忘れたという少年が、母と再会し、新しい生活を築き始める時が近づいてきている。