ニッケイ新聞 2012年11月7日付け
アンドラジーナの小野ジャミル市長は、日本語が上手だった。挨拶も「小野と申します、よろしくお願いします」と流暢だったので驚いた。
ところが取材に入ると様子が違った。質問しても、すぐに言葉が出てこないようだった。ポ語で聞き直すとポ語で答えかけるが、あくまで日本語で答えようとしていた。
ポ語を勉強し始めて10年近く経つ記者だが、情けないことにポ語の取材は未だ困難だ。日常会話は何とかなっても、話が込み入ると怪しくなる。間違いが怖いので、日本語がわかる相手なら日本語で取材している。
市長は、記者の母国語で話したほうがいいだろうと気遣ってくれたようだった。そういう気配が取材中に漂っていて有難かったが、ポ語で話してもらった方がわかるかも—と思う場面もあった。自分の思いを自在に表現できるようになるまで外国語を修得するのは、本当に至難の業だ。(詩)