ニッケイ新聞 2012年11月8日付け
【既報関連】連邦政府とサンパウロ州政府が6日午後、州都第1コマンド(PCC)による軍警殺害命令などを受けた〃暴力の波〃に対処するために、六つの対策を採る事で合意に達したと7日付伯字紙が報じた。
トビアス・デ・アギアル巡回機動隊(ROTA)が5月28日夜、サンパウロ市東部でPCC構成員6人を殺害した事をきっかけに始まった〃暴力の波〃の拡大に、サンパウロ州と国の両政府が協同対策を採る事がやっと決まった。
バンデイランテス宮殿での会合への出席者は、連邦政府側がジョゼ・エドゥアルド・カルドーゾ法務相やレジーナ・ミキ国家保安局長、レアンドロ・ダイエロ連邦警察総監ら、サンパウロ州側がジェラウド・アルキミン州知事やアントニオ・フェレイラ・ピント州保安局長、軍警のレベルヴァル司令官らの総計29人。
サンパウロ州の治安問題に関しては、国が支援を約束したかのように発言したカルドーゾ法相に、ピント州保安局長が6月、実際に言ってない事を言ったかのように話していると苦言を呈して以来、関係が悪化。ミキ国家保安局長が「パライゾポリスに大量に警官を投入すれば治安維持が困難になるから」と軍の派遣を提案した事も、ピント州保安局長らの心象を悪くし、サンパウロ州の警察の対応能力が高い事は軍関係者も知っているとの反論も出た。
国と州の対立状態を変えたのは〃暴力の波〃の拡大と1日に行われたジウマ大統領とアウキミン知事との電話会談で、PCC幹部の国の刑務所への移送で合意。さらに対策を練るための会談が行われたのが6日だ。
6日の会談では、PCCの逮捕者1人に付き軍警1人、死者1人に付き軍警2人の殺害を命じたPCC幹部のフランシスコ・アントニオ・セザリオ・ダ・シウヴァ(通称ピアウイ)を、ロライマ州ポルト・ヴェーリョの刑務所に移送する事を承認。北大河州モソロ、南マット・グロッソ州カンポ・グランデ、パラナ州カタンンドゥーヴァスの4カ所、約300の独房が使用可能である事も確認された。
犯罪組織の金脈を断つためには、組織を包囲して資金洗浄などを防ぐための機関を創設。連邦警察の情報力を利用し、国税庁や州財務局の支援も得て資金源を断つための機関の詳細は12日に話し合われる。
麻薬や武器の流れを断ち切るには、連邦警察と軍警らが連携して行う高速道路や空港、港の検問強化で合意。麻薬流通経路解析のための協力やクラック撲滅作戦の展開、犯罪組織撲滅作戦を国と州が協同して行うためのコンロトールセンターの設置も確認された。
大サンパウロ市圏の殺人事件被害者は、4〜5日にかけて10人、5〜6日にかけて8人、6〜7日も5人と止まるところを知らない。バス焼き討ちや外出禁止令騒ぎも加わり、市民の不安が高まっている事で、国との協力を断れなくなったサンパウロ州政府だが、軍の派遣は合意事項には入っていない。