ブラジルの喫煙者=約20年で半数に激減=価格の上昇などが決め手に
ニッケイ新聞 2012年11月8日付け
ブラジルと米国の研究者が行なったブラジルの喫煙者に関する調査により、ブラジルの喫煙者は約20年で半減していることが明らかとなった。7日付フォーリャ紙が報じている。
同調査によると、1989年に成人男性で43%、女性で27%だった喫煙率が、2010年は男性22・6%、女性14%とほぼ半減した。
喫煙率が下がった理由の48・4%は「煙草の価格が上がった」ことで、89年の煙草の価格は1・58レアルだったが、10年には3・64レアルと2倍以上の値段となっている。国立ガンセンター(INCA)のリズ・マリア・デ・アルメイダ調査員は、「価格上昇が禁煙の原因になるのは世界的なもので、特に若年層が喫煙者になるのを妨げている」と分析している。煙草の値上がりで本数を減らしたり、煙草を止めた喫煙者もいるという。
2位以下は「(2000〜01年からはじまった)喫煙による病への危険を促す広告」が13・7%、「(2007〜09年に全国各地で適用された)公的な場所での禁煙条例」が13・6%、「マスコミによる禁煙キャンペーン」が6・3%となっている。一連の規制対策がそれぞれ高いパーセンテージを占めることとなった。
また、1989〜2010年のあいだに喫煙による死を免れた人の数は約42万人と推定されることも発表された。
今回の調査を指揮した米国ジョージタウン大学のデヴィッド・レヴィ教授はブラジルでの喫煙率の低下に感銘を受け、ここまでの低下を実現することとなった原因についてさらに研究するように促しているという。
研究員たちは2050年の喫煙率は10・3%だが、積極的な禁煙運動を続けた場合の喫煙率は6・3%まで低下が可能で、両者のあいだの喫煙に伴う死者数の差は130万人と試算している。