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ロイヤリティ=石油産出地の利権が激減=「W杯も五輪も無理だ」=リオ知事が新分配率に怒り=大統領も不満で拒否権も

ニッケイ新聞 2012年11月9日付け

 油田開発に伴うロイヤリティの分配率を変更する法案が国会を通過し、利権が大幅に削減されるリオデジャネイロ州のセルジオ・カブラル知事は7日、「これではワールドカップもオリンピックも実現できない」と不満を漏らした。8日付伯字紙が報じている。

 油田開発に伴うロイヤリティの分配率改正は2009年頃から動きがあり、上院が可決した後も下院で長らく止まっていたことで、国内の油田開発のための入札の遅れも招いていた。ロイヤリティは、国や地方自治体などの地下鉱物の所有者が、鉱業権付与に際し、生産費用を負担せずに生産物に対し留保する一定の持分(シェア)だ。
 ロイヤリティの分配率をめぐる下院の審議は6日に行なわれ、上院が承認していた改正案にそった法案が承認された。新法案では、リオやエスピリトサント州といった石油産出州や市の取り分が減り、産出地でない州や市の取り分が増加する。新法案では、国の取り分が30%から20%、生産州の取り分が26・25%から20%、生産市の分も26・25%から17%に削減されるのに対し、従来は通常の油田で8・75%、生産性の高い油田では0%だった非生産州や市の取り分は各々40%と19%に一気に増加した。
 さらに、今回の法案から採用となる、今後入札予定の岩塩層下油田の分配は、国20%、生産州22%、生産市5%、採掘で影響の出る市2%に対し、非生産州や市は51%となっている。石油生産による恩恵をより広範に受けられるようにする改正案は、これまで恩恵を受けてきた州や市の経済を直撃する。
 この結果を受け7日、リオのセルジオ・カブラル州知事は「この分配率ではW杯も五輪も実現できなくなるし、公務員の給与や高齢者への年金も払えなくなる」と嘆いた。新法案がそのまま裁可されれば、リオ州は2013年だけで46億レアルの収入減となる。これは同年の州予算の6・4%を占める。2030年までの損失額は1167億レアルに上る見込みだ。また、エスピリトサント州での損失は2020年までに110億レアルになるという。
 カブラル知事は、ジウマ大統領は拒否権を発動するはずと見ている。6日に下院で裁決された法案はジウマ大統領の裁可待ちだが、連邦政府も今回の改正案に不満を抱いている。理由のひとつは既存の契約分のロイヤリティも分配率変更の対象とされたこと、もうひとつは岩塩層下の油田からのロイヤリティを全て教育費にあてるという政府案が6日の下院の審議で却下されたからだ。イデリ・サルヴァッティ大統領府調整担当長官によると、ジウマ政権は、全国教育プラン(PNE)に岩塩層下の油田からのロイヤリティ使用を盛り込むことで、国内総生産(GDP)に占める教育費の割合を10年間で5・1%から10%に引上げようと考えていた。