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ウビラタン殺人事件=カルラ被告に無罪判決=カランジルー後の感情影響

ニッケイ新聞 2012年11月9日付け

 カランジルー刑務所虐殺事件の指揮官として知られるウビラタン・ギマランエス元軍警司令官殺害犯として起訴されていたカルラ・セポリーナ被告(47)に7日、無罪判決が下った。8日付伯字紙が報じている。
 ウビラタン氏は1992年9月、サンパウロ市北部のカランジルー刑務所で死者111人を出す虐殺を指揮したが、後に政治家に転じ、97年から補欠州議を2度つとめた後、2002年に州議に当選した。カランジルー事件では虐殺首謀者として2001年に懲役632年の判決を受けたが、2006年に刑が免除された。
 5日からの裁判は、2006年9月10日、再選を目指していたウビラタン氏が腹部を撃たれて死亡したことを受けたもので、恋人だったカルラ被告が浮気に気づき、嫉妬して殺害したとの疑いが浮上。死の前日も電話で激しく口論したことも判明したが、逮捕には至っていなかった。
 サンパウロ市西部バラ・フンダの裁判所での公判に、実母のリリアーナ・プリンスヴィアリ弁護士と共に臨んだカルラ被告は、ウビラタン氏を殺害したのは、同氏の秘書で、同氏の秘密口座にある金をめぐってもめていたジェルソン・ヴィトリア氏だと主張した。
 3日間に及ぶ陪審裁判の末、陪審員たちは「証拠不十分」として無罪判決を下した。ジョアン・カルロス・カウサヴァラ検事と助手のヴィンセンテ・カッシオーネ氏は、自身も弁護士であるカルラ氏が親子でうまく戦略を練ったことと、カランジルー事件で無罪扱いになったウビラタン氏に対し「罰せられるべき」とする風潮があったことが無罪の理由ではないかと分析した。検察は上告しない意向だ。
 カルラ氏が犯人だと主張したジェルソン氏の娘のルシアナさんは、ネット上で「カルラは死刑に値する」と怒りの発言を行なった。