ニッケイ新聞 2012年11月15日付け
11年1月に900人超の死者が出たリオ州山間部に強い雨が降り、犠牲者も出た13日、地理統計院(IBGE)が自然災害への対策を講じている市は6・2%のみと発表したと14日付伯字紙が報じた。同日は連邦政府による100億レアルの干ばつ対策も発表されたが、以前潰れた灌漑政策のその後は何も言及されていない。
ブラジル史上最悪の自然災害の現場となったリオ州山間部に再び強い雨が降り、洪水や家屋倒壊なども起きていると報じられたのは、自然災害に対する対策を講じている市は全国の6・2%、対策を検討中の市も10・1%のみと発表されたその日の事だった。
IBGEの自治体基礎情報調査(Munic)は、洪水、土砂崩れ、干ばつなどの自然災害全般に対する対策の有無を問うたものだ。自然災害の被害を軽減する対策としては、排水設備の完備、護岸壁を含む防護壁や防水ダムの建設、貯水用の池やダム建設、家屋の移転などが挙げられる。
各自治体の対策はその規模や地域性などで異なるが、集中豪雨や干ばつなどの発生が増えてきている現状を考えると、83・7%の市では防災対策が採られておらず、検討さえされてないという実態は懸念に値する。
24時間に200ミリを超す雨が降ったリオ州山間部では、11年の大災害以降、警報器の増設などが進んだが、土砂崩れなどの危険度が高い地域の家屋移転は充分でない事は、ノヴァ・フリブルゴでの土砂崩れで20軒余りの家屋倒壊といった報道から窺われる。
同市では避難を呼びかける警報が鳴り響き、死者ゼロとの報告は、380人近い死者が出た11年の教訓が生かされた証拠だが、トラジャノ・デ・モラエス市では川を渡ろうとした農夫が濁流に呑まれ、14日朝、遺体で発見されるなど、既に犠牲者が出ている。
防災対策を講じている市が多いのは南東伯だがそれでも9・6%。最も少ない南伯では4・4%で、08年に大水害に見舞われたサンタカタリーナ州の諸市の中で新たな対策を講じたのはイタジャイ市のみというのもお寒い結果だ。なお、人口50万以上の市では、52・6%が対策を講じているという。
一方、干ばつも深刻化しており、今年は南伯や北東伯などで大きな被害が発生している。事態を重く見たジウマ政権は13日、16州の小規模農家を支援するための灌漑計画に100億レアルを投じると発表。バイオ燃料の原料となる作物や果物、穀物の栽培と放牧に適した土地53万8千ヘクタールを潤す事で、家族農や地域経済を支援するという。30億レアルは経済活性化計画(PAC)予算から出し、残りは民間投資というが、11年に摘発された国家統合省などを巡る汚職で横流しされた金の行方や、汚職によって止まった灌漑計画再開については何の説明もなかった。