ニッケイ新聞 2012年11月15日付け
ペデレイラ文協の記念式典では、日本語学校の7代目教師として着任し、現在も教鞭を取る斎藤早百合さん(80、高知)の在職30周年も合わせて祝われた。
生徒、協会から記念品や花束を贈られた斎藤さんは、「身に余る報奨。住人として当然のことをしただけ。非常に幸せでした」としっかりした口調で挨拶し、生徒代表で感謝の言葉をのべた非日系のディエゴ・サントスさんの日本語での挨拶にも、嬉しそうに聞き入っていた。
1957年に25歳で移住し、ノロエステのコーヒー園に入植。以降、サントアマーロやスザノを経て79年からマウアーに住み、名誉市民章も受章している。学校だけでなく、自宅でも「さゆり塾」という日本語教室を開き、成人の生徒に教える日々だ。
通算で30年以上、大勢の生徒を育ててきた。現在も5〜20歳くらいまでの18人の生徒に週一回で教えているが、来年からは後任の教師が決まっており、今年いっぱいで退任する。
「ここの皆さんが私を温かく包み、育ててくれたからやってこれた」と、会員らとともに歩んだ教師生活を振り返る。
「優秀なだけでなく、人間としての根性のある子を育てる」という教育方針のもと、生徒とともに一歩一歩階段を上がる30年だった。
記念祝賀会でもたびたび舞台に上がり、80歳ながら活気あふれる姿を見せていた斎藤さん。「これからは、若い人がやりやすいように道を作ってあげたい」と笑顔を見せ、後任の活躍に期待を寄せた。