ニッケイ新聞 2012年11月28日付け
油田開発に対するロイヤルティの新分配率を不満とするリオ州政府と市民によるデモ行進が26日、リオ市の中心部で行なわれた。27日付伯字紙が報じている。
6日に下院で可決されたロイヤルティの新分配率案は、油田開発に伴う恩恵を広範にもたらそうとするものだが、リオやエスピリトサントといった石油産出州や市ではロイヤルティによる歳入が激減することになる。リオ州の場合、新法案が正式に承認されると2020年までに770億レアルの減収となる。
この状況に「これではW杯も五輪も運営出来なくなってしまう」と嘆いていたセルジオ・カブラル・リオ州知事(民主運動党・PMDB)は26日、リオ市中央のカンデデラリア教会から、大ステージを組んだシネランディア広場までのデモ行進を行なった。このデモにはカブラル知事のほか、エドゥアルド・パエス・リオ市長(PMDB)やリンドベルグ・ファリアス上議(労働者党・PT)、リオと並ぶ石油産出地エスピリントサントのレナート・カーザグランデ州知事(ブラジル社会党・PSB)のほか、ブラジルの大御所女優フェルナンダ・モンテネグロらが参加した。
カブラル知事たちの合言葉は「ヴェッタ、ジウマ(ジウマよ、拒否権を使え)」で、30日に行われるジウマ氏による最終判断を前にしての訴えという形を取り、連邦政府に対する直接的な批判は避けた。カブラル知事は「新分配法案が承認されれば前代未聞の危機に陥る」と訴えた。
リオ州政府はこのデモのためのステージ設営、音響や照明、3台の山車などに計78万レアルを投じたほか、市民の参加を促がすためにデモ前後は交通機関を利用するようにとの呼びかけも行なった。エスタード紙によると、カブラル知事たちが25万人を見込んだデモの参加者はその3分の1ほどで、広場に設けたステージ周辺は空いたスペースが目立った。パトロールを担当した軍警仕官は3万人にも及ばないと推定したが、最終的な軍警の発表では20万人となっている。
カブラル知事らのデモは途中、同知事に対する市民デモのために、進路変更を余儀なくされた。これは知事の側近らが、モンテカルロ作戦で逮捕されたデルタ社のフェルナンド・カヴェンディッシュ容疑者とパリで密会した写真が流出したことなどで、カブラル知事への不満が噴出したもの。このデモ隊は「ヴェッタ、ジウマ。カブラルは辞めろ」と訴え、軍警ともみあいになった。
カブラル知事はジウマ大統領が新法案の一部を裁可する意向と知り、デモを企画した。ジウマ大統領は27日、ロイヤルティの責任ある使い方を勧める文書を発表した。