ホーム | 日系社会ニュース | デカセギ=かつてない高定住化傾向=半数以上が永住資格取得=在日コミュニティ、質的変化へ

デカセギ=かつてない高定住化傾向=半数以上が永住資格取得=在日コミュニティ、質的変化へ

ニッケイ新聞 2012年11月28日付け

 法務省入国管理局が今年11月5日に発表した外国人登録者に関する統計によれば、永住資格を持つ在日ブラジル人の数が11万人を超えていることがわかった。5年前の1・5倍以上、10年前の約5倍の数字となる。主に二世向けに発給される「日本人の配偶者」、三世を対象とする「定住者」のそれぞれの資格を持つ人数の合計数をも上回り、在日ブラジル人のなんと半数が「永住資格」が持つ状態だ。金融危機後の大量帰伯時代を超えて、日本の日系社会にはかつてない高い定住化傾向が現れているようだ。

 永住資格を持つ在日ブラジル人の総計は11万9748人(2011年度統計)。初めて総滞在者数(21万32人)の半数を超えた。
 デカセギブームが始まった90年頃から徐々に増え始め、1999年に立て続けに銀行が破綻するなどの金融恐慌の後、2000年から永住資格者の激増が始まり、08年まで毎年1万人ペースで増えつづけた。
 06年には「日本人の配偶者」、09年には「定住者」のそれぞれの総数を追い抜いた。
 08年のリーマンショック以降、3年間で10万人のデカセギが大量帰伯する激動の時代を迎えた。「日本人の配偶者」や「定住者」の資格での滞日者がそれぞれ5年前(07年)の約4割まで激減する中、実は永住資格者は微増しつづけた。その結果、デカセギに占める永住資格者の割合が一気に高まり、かつてない半数以上という数字を記録したようだ。
 日系ブラジル人の職業斡旋をする愛知県一宮市の派遣会社アバンセコーポレーションの林隆春社長に話を聞くと、「経済危機後に日本政府から帰国支援金が出たにも関わらず、それを受け取らず日本に残ることを選んだのだから、永住を前提とした人が国内の多数派となることは自然なこと」との考えを示す。「永住資格申請に対して、お役所も以前よりあまりごちゃごちゃ言わないようになったと感じる」と話し、永住権取得の敷居が低くなっているとの印象を語った。
 永住資格取得の利点としては、場合によっては毎年必要な滞在ビザのための更新手続きが不要となる、職業の選択に制限がなくなる、住宅ローンや商取引などの信用が得やすくなるなどが挙げられる。
 大量帰伯時代を超えて、日本側の日系社会は定住化に向けて大きな質的な変化を遂げているようだ。