ニッケイ新聞 2012年12月4日付け
地理統計院(IBGE)が11月30日に発表した第3四半期の経済成長率が0・6%に止まり、ジウマ大統領や政府の経済スタッフ、市場関係者を驚かせたと1日付伯字紙が報じた。中央銀行の先行指数IBC—Brでは1%と見られていた成長率が予想外の低率で終わり、今年と来年の成長予想は共に引下げられた。
第3四半期の成長は期待外れで、今年の成長は1%程度—。ジウマ政権2年目の経済成長は昨年の2・7%を下回り、政権後半は4%成長を確保し、2014年大統領選につなぎたいというジウマ大統領の期待を裏切る可能性さえ出て来た。
中銀のIBC—Brでは1%と予想された第3四半期の経済成長が0・6%に終わった事は、ジウマ大統領やギド・マンテガ財相のみならず、最も悲観的な見方をしていた市場関係者にとっても大きな驚きだった。また、金融や投資がマイナスであった事も失望感を大きくした。
特に影響が大きかったのは、国内総生産(GDP)の7・4%を占める金融部門の第2四半期比1・3%の落ち込みだ。第3四半期の債務不履行は5・9%で、昨年同期の5・3%以上だった事が貸倒引当金の増加や融資の引締めを生んだ他、経済基本金利(Selic)低下による利息収入減少などが予想以上の不振を招いた。
また、投資は国際的な金融危機勃発以来5期連続で縮小し、第2四半期比2%、昨年同期比5・6%落ち込んだ。工業界の信頼指数は低下したままで、投資が増加に向かう兆しは見えてこない。
一方、国際金融危機による景気後退をいち早く抜け出す鍵となった一般消費は第2四半期比0・9%、昨年同期比3・4増だが、需要増が在庫でまかなわれている点が2009年当時と違い、工業を押し上げるには今ひとつの状態だ。
第2四半期が第1四半期より落ち込んだ工業界は、予想以上の第2四半期比1・1%増だが、昨年同期比では0・9%の落ち込み。最近は1ドル2レアル以上となった為替の影響がどの程度出るか、観察が必要だ。
GDPの5・5%を占める農牧業が第2四半期比2・5%、昨年同期比3・6%増を記録した事が、工業の直前四半期比での微増と共にわずかな光明となっている。
第3四半期の成長率が予想以上に低かった事がジウマ大統領に伝わったのはIBGEの発表直前で、マンテガ財相も大統領と話合う暇がなかったという。マンテガ財相は先週、新しい政策の導入を予告していたが、減免税処置導入などによる減収で基礎収支の黒字目標が見直されている中、今年の成長は1%程度、来年も3・5〜4%で場合によっては3%を割る可能性ありとの声も出てきた。大統領は本日4日に経済スタッフと会合を行うが、就任当初から掲げていた年4%の成長達成は決して容易ではない。