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メルコスル首脳会議終わる=ボリビアが正式加盟へ=欠席のベ国大統領再手術=報道陣に口閉ざす亜国大統領

ニッケイ新聞 2012年12月11日付け

 ブラジリアで7日開催のメルコスル(南米南部協同市場)首脳会議で、ボリビアが正式加盟に向けての第1歩を踏み出したと8日付伯字紙が報じた。7月31日付で正式加盟したベネズエラが正副大統領共に欠席したのはチャベス大統領の癌再発が原因で、9日には同大統領が後継者の名前を口にするという異例の事態も起きた。

 1991年にアルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ、ブラジルの4カ国が発足を決め、94年に最終議定書調印、95年1月に正式発足となったメルコスルに6番目の加盟国が誕生する。
 ジウマ大統領は冒頭、「ボリビアの正式加盟はメルコスルをより強固なものとする。私は全加盟国の名前で、エボ・モラレス大統領とボリビア国民に歓迎の気持ちを伝えたい」と挨拶した。
 人口1千万人、国内総生産230億ドルのボリビアの加盟は、ベネズエラの加盟同様、ブラジルが目指すメルコスルの拡大強化に繋がり、同共同体の活力と成長能力を示すものだ。また、ブラジルで消費する天然ガスの20%強はボリビア産のため、ボリビアは南米で唯一の赤字交易国というブラジルには、同国加盟で関税軽減という利点もある。
 ボリビアの加盟はアンデス協同体(CAN)との関係もあって調整が長引くと見られていたが、6日に同国の加盟に賛同しない旨を表明したパラグアイは、2013年の大統領選以降の復帰となるため、障壁が少ない今回の会議で加盟手続きが開始された。メルコスルへの正式加盟は、首脳会議での調印後、各国議会での承認が必要だ。各国議会が加盟承認後、4年以内に域内での関税適合処置が開始される。
 他方、正式加盟後初の首脳会議にエネルギー相が代理出席となったベネズエラでは7日、19日間キューバで治療を受けていたチャベス大統領がニコラス・マドゥーロ副大統領と共に帰国。8日には全国民に癌再発で再手術を受けると公表し、自分が政権を降りて大統領選挙となった場合はマドゥーロ副大統領に投票するよう求めた後、9日にキューバに戻った。
 チャベス氏は10月の大統領選にも癌は癒されたと宣言して出馬しており、1月10日の就任式を前にして行われた癌再発宣言と後継者指名は、多くの国民を動揺させている。
 また、会議出席のための旅の開始を遅らせたのはアルゼンチンのクリスチーナ・キルチネル大統領。7日付本紙でも報じたメディア法に関する判決を不服とし、同法の合憲性判断を即刻行うよう最高裁に大統領令を出してきた同大統領は、会議後の報道陣の取材に対しても、経済問題のみに答える徹底振りで、メディア法問題はノータッチ。
 9日の首都5月広場でのロックショーでも、クラリンの要請を受け入れた裁判官は国民の要求を無視したと強い口調で批判したが、汎米報道協会は8日、同国では報道の自由が阻害され、重大な報道規制が行われているとの見解を表明した。