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メンサロン=ルーラ自身がOK出した=Mヴァレリオの新供述=P岡本が脅迫したとも=野党側は徹底捜査を要求

ニッケイ新聞 2012年12月12日付け

 メンサロン事件で有罪となった企業家のマルコス・ヴァレリオ・フェルネンデス・デ・ソウザ被告(以下、V被告)が、9月24日に検察庁でルーラ前大統領の関与を示す供述などを行ったと11日付エスタード紙が報じ、野党側が新たな捜査開始を要求している。

 「黙っていないと命はないぞ」—。05年に当時のロベルト・ジェフェルソン・ブラジル労働党(PTB)党首がメンサロン事件の事を漏らした後、現在ルーラ研究所所長で前大統領の友人の岡本パウロ氏がV被告に告げた言葉だ。
 メンサロン事件公判で40年2カ月の実刑判決を受けたV被告が刑の軽減を求めて新たな供述を行った事は11月1日付エスタード紙が報じていたが、内容の一部が11日付エスタード紙に掲載され、政界内に波紋が広がっている。
 9月の供述には、同被告がルーラ前大統領の個人的経費の支払いを助けた事や、ジョゼ・ジルセウ被告がV被告に銀行から1千万レアルの貸付を受ける事を許可した後、会談の内容を聞いた前大統領が「OK」を出したといった内容などが含まれている。ルーラ前大統領の関与はジェフェルソン被告も言及しており、一部の識者も「自分のひげの下で起きている事を知らないはずがない」と発言していた。
 供述には、03年に、当時官房長官だったジルセウ被告や労働者党(PT)会計だったデルービオ・ソアレス被告と大統領府で会談した時、ジルセウ被告がソアレス被告は自分と前大統領の両方の名前でV被告と交渉していると語った事や、前大統領がOKを出した後に農業銀行理事が連絡してきた事、1千万レアルがなくなると1200万レアルの貸付が認められた事なども出てくる。
 V被告は、前大統領の個人経費を賄うため、「前大統領のためなら何でもやる」警護役のフレウド・ゴドイ氏が経営する会社の口座に金を振り込んだ事も暴露。ポルトガル・テレコンからPTへの700万レアルの金銭授受には前大統領とアントニオ・パロッシ元財相が絡んでおり、交渉はV被告らが同国に旅した時に行われたという。
 また、メンサロン事件が表面化した直後には、零細・小企業支援サービス機関(Sebae)会長だった岡本氏が前大統領の命令で連絡を取ってきており、2度目の接触で「PTにはお前を殺せと言っている奴がいる。黙っていないと命はないぞ」と言われている。ジルセウ被告やパロッシ氏の弁護士は会談そのものを否定したが、ルーラ研究所やゴドイ氏の会社はノーコメント。
 ヴァレリオ被告は9月の供述後に身辺保護を要請したが、刑軽減を得るための賭けと見た検察庁は、事件公判に影響が出る事を嫌い、即座の対応を拒否。身辺保護は不要と発言していた。
 なお、エスタード紙の報道はテレビニュースなどでも流れ、同日付各紙サイトは、野党側が検察に新たな捜査開始を申し入れたと報じている。