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コラム 樹海

ニッケイ新聞 2014年1月9日

 3日に起きたマラニョン州でのバス焼き討ちで体表面積の95%に火傷を負った6歳のアナ・クララちゃんが6日に死亡したと7日付2面で報じたが、6日のG1サイト記事は新たな涙を誘った▼アナ・クララちゃんの曽祖父が、初のひ孫だった彼女が大火傷を負って生死の境をさまよっていると知り、心筋梗塞を起こして5日に亡くなったというのだ。アナ・クララちゃんの方は曽祖父の死から約24時間後の6日朝亡くなり、7日に埋葬されたが、叔母達は、娘の死を知った母親がどんな反応を起こすかを恐れ、何も知らせていないという▼アナ・クララちゃん達は、バスに乗り込んできた賊達が放火しようとした時、自分達にガソリンをかけないよう頼んだが、賊達はガソリンを浴びせて火を放った。火の勢いでアナ・クララちゃんを見失った母親は幼い妹だけを救出。火達磨になったアナ・クララちゃんを助け出したのは、バスに同乗していた37歳の見知らぬ男性だった。彼は自分の体で覆う様にして少女の火を消そうとしたため、全身の72%に火傷を負い、集中治療室にいる▼人の命を奪う事や人が苦しむであろう事を屁とも思わぬ犯罪者もいれば、我を忘れて少女を助けようとした男性もいる。バス襲撃等を命じた犯罪者達がいるペドリーニャス刑務所の収監者の中には、自分の身を守るために妻を性の慰み者として差し出し、妻が来ない日は気も狂わんばかりになる者もいるという▼〃我が身かわいさ〃は人の常かも知れないが、一つの事件に天使と悪魔が隣り合わせに生活している世界も垣間見える。被害者の回復や遺族への慰めと共に、人間らしさの回復を祈らされるばかりだ。(み)