ニッケイ新聞 2012年12月18日付け
幼稚園の教諭でもある友人が、フェイスブックに「子供達が学校に持ってくるのは教材と家で受けた躾」という文入りの写真を掲載した。一方、日本で行われたクラブ世界選手権で優勝したコリンチャンスのサポーターは横浜スタジアムでパカエンブの如く振る舞い、花火の使用、座席上で跳ねるなど、国際サッカー連盟が禁じる行為を繰り返したとの記事も▼コリンチアーノは熱狂的で知られる集団で、会場にいた3万のファンは家で身についたやり方で応援。熱が嵩じてかルールの存在を知らずにかは別として、その熱意が優勝を後押ししたのは明らかだ▼一方、優勝後、フィールドでは一人天を見上げて祈る選手の姿が見られた他、選手や監督達が丸くなり、パゴッジの後にアヴェ・マリアを歌い祈ったとの記述も家(国)の習慣を反映したもの▼チテ監督は熱心なキリスト教徒だというが、80年代には国民の9割がキリスト教徒でその9割がカトリックといわれたブラジルも、現在はプロテスタントが増加中。代表返り咲き後にいいプレーを見せたカカーや94年の米国W杯のキーパー、タファエルなど、エヴァンジェリコの選手も増えている▼面白いのは、懺悔すれば全て赦されるカトリックが中心だった頃より、エヴァンジェリコの選手が出てき始めてからの方が試合がまじめになり、成績も向上との話もある事。コリンチャンスが新旧どちらの信徒の集まりかは知らぬが、栄光を神に帰し、勝利を感謝する行為は、国際基準を逸した行動もカバーしてくれた▼優勝で暴動が回避され、「身」を「美しく」と書く躾のほころびが出なかった事も大きな収穫かもしれない。(み)