ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | 年の瀬に新たな景気対策=IPI減税は再延長=小売業も税負担軽減へ=年明けのインフレ圧力は

年の瀬に新たな景気対策=IPI減税は再延長=小売業も税負担軽減へ=年明けのインフレ圧力は

ニッケイ新聞 2012年12月21日付け

 ギド・マンテガ財相が19日、工業製品税(IPI)減税再延長などの新景気対策を発表した。ジウマ政権の課題の一つは税制改革で、来週も新たな景気対策が発表される見込みと20日付伯字紙が報じた。

 ジウマ大統領が来年の優先課題の一つは減税と発言した数時間後、マンテガ財相が、総額45億レアルの減免税対策を発表した。同策は車や白物家電、建築材料などに対するIPIの減税延長や小売業界の税負担軽減などで、消費者価格の上昇抑制や雇用増による景気刺激を目指すものだ。
 IPIの減免税は品目毎に内容が異なる。車の場合、資本財とみなされるトラックの免税は13年6月末まで継続されるが、それ以外の車は段階的に減税率を縮小する。例えば、現在は課税率0%のリッター車は1〜3月2%、4〜6月3・5%、2千cc未満のフレックス車は現在の5・5%が1〜3月7%、4〜6月9%にと徐々に変更。それでも、本来の課税率(7%と11%)よりは低い税率となる。
 白物家電は1月末まで現行の減免税を維持するが、2〜6月は、現在免税のフォゴンと簡易洗濯機(タンキーニョ)が2%、5%の冷蔵庫や冷凍庫が7・5%に減税率を縮小。建築材料も1月までは現行の減免税を維持し、2〜6月は本来の課税率の半分を上限に減税率を縮小する。現在50%減税の洗濯機と壁紙は6月末まで現行の10%を維持する。
 一方、小売業界への税負担軽減は、雇用主が負担する社会福祉関連の納税額を給与額の20%から売上げの1%に変更する形で4月から実施。負担が減った雇用主には、更なる投資や正規雇用の促進が求められる。同様の形で雇用主の負担軽減を狙った業種は42に達したが、政府側は同様の処置の適用を13年も拡大する意向だ。
 12年は、景気刺激のための減免税で税収が減り、基本収支の黒字目標達成が不可能となるほどだが、20日に出た中銀の経済成長予想は年1%に下方修正。今回の減免税は、経済基本金利(Selic)引下げで公的負債分の利息支払いが減った事を利用し、13年の景気浮揚を目指した景気刺激策といえる。
 ただ、IPIの減免税や雇用主の税負担軽減が消費者価格に全面的に還元されているか否かは不透明で、12月に入ってからは食料品価格の上昇など、インフレ圧力が増している。来年のガソリン値上げは避けられないとの財相発言に加え、1月は私立校授業料や公共交通料金の値上げなども見込まれている。
 今年のインフレは11年度の6・56%より低い年5・78%程度と見られているが、年明けの圧力上昇がインフレを後押しすれば、経済基本金利の再引上げとなる可能性もある。13年下半期にIPIが元の税率に戻る事を示唆した財相発言は景気回復を意味すると取りたいが、減免税停止が回復の遅れやインフレ上昇に繋がる事は何としても避けたいところだ。