特集 2010年新年号
ニッケイ新聞 2011年1月1日付け
「ポルトガル語には雲の様子をしめす擬態語はありません」。カルモ教授はそう日本語の特徴を端的に説明し、母国語(ポ語)以外の言語を学ぶことのメリットをあげる。「夫の家系では私は初めての非日系」と自己紹介した。本人は500年の歴史を持つポルトガル系白人の末裔だが、日系である夫が持つ継承文化に強い理解を示している。
「オバアチャン、義母は日本語で私の子供に話しかける。これは生きた言葉だ。子供時代に盆踊りを体験することで、独自の回路が脳に刻まれる」。第一言語(ポ語)は子供が置かれた社会の中で自然に習得されるが、第二言語は子供の学習動機や気持ちに左右される。三世以降が中心となる現在の日本語学習者にとって、一世世代と会話するための懸け橋となる重要な役割を負うと論ずる。
さらに、「テクノロジーの時代である現代は、子供は単なる大人の予備軍になってしまいがち。子供らしい子供時代を過ごすことが重要」と日本語学校の持つ独自な日系的、家庭的な雰囲気自体を評価する。
「頭のやわらかい子供時代に、伝説や神話、昔話などを聞くことは素晴らしいこと。浦島太郎、桃太郎一つとっても、日本の昔話には日本的な考え方が凝縮されており、人生をとても豊かなものにする。このような幼児体験は、後々の多文化受容を容易にする」と情操教育や昔話、童謡、折り紙、演劇的なものを日本語学校が重要視していることを讃える。
「子供時代は短い。その間に習ったこと、親しんだ文化に、人は一生強い愛着を感じる」と幼児教育に日本語を入れることの重要性をのべた。