アフリカ西部で大流行の兆しを見せているエボラ出血熱に関し、ブラジル保健省が7月31日、国内での感染を防ぐために空港や港での水際作戦を強化する方針を発表したと1日付エスタード紙などが報じた。
エボラ出血熱が流行しているのはギニア、シエラレオネ、リベリアの3国で、世界保健機関(WHO)の7月27日の発表によると、アフリカ西部では今年、1300人以上が感染し、729人が死亡している。
エボラ出血熱は1976年6月、スーダン(現在の南スーダン)のエボラ川の近くに住んでいた男性が高熱と頭や腹部の痛みで入院、その後、消化器や鼻から激しく出血して死亡したのがきっかけで発見された。同地域では男性の近くにいた2人も同様に発症したのを発端に284人が感染、151人が死亡した。
感染は患者の血液や体液等に触れて起きるとされているが、葬儀の際に遺体に触れた参列者全員が感染した例もある。この病気の怖いところは、数個のエボラウイルスが侵入しただけでも感染後7日~3週間程度で発症し、短期間で半数以上が死亡する事だ。これまでの流行地はアフリカ中部で、2012年末までに1590人が死亡。発熱や頭痛、悪寒、筋肉痛、下痢、嘔吐などの症状が出た後は鼻や歯肉、消化管、皮膚等から出血し、吐血や下血も起きる。
アフリカ西部での流行は初めてだが、リベリアでは防護服に手袋、マスク、ゴーグルを着用していた米国人医師も感染。ナイジェリアでの死者はリベリアから同国の空港に着いた直後に倒れて病院に搬送されており、同乗客やナイジェリア国内で接触した人への感染が懸念されている。
感染の形態が従来とは違い、流行拡大の可能性も高いため、WHOは7月31日に1億ドルの基金の創設を決め、諸国の協力を求めた。1日にはアフリカ西部の国々とギニアで緊急会合を行い、対策を話し合った。
ブラジルもWHOの要請に従い、500人の患者に3カ月間対応出来る医療品キット10組をリベリアとシエラレオネに送る事を決めた。また、空港や港の検疫官らに感染の疑いのある患者の隔離などの対策を強化する様に指示。航空会社や船会社の職員は、航行中に原因不明の発熱や下痢、出血といった症状を呈した患者の有無を係官に通達する様、指導されており、着陸(上陸)後の患者は隔離された後に専門官の診察、判断を仰ぐ事となる。エボラ出血熱の症状は発症当初からかなり激しく、感染は症状が出てから起きるのも特徴だ。