2日付2面でも触れたエボラ出血熱に関し、2日付エスタード紙がリベリア在住の記者からの報告を掲載した▼従来のエボラ出血熱の流行は限られた範囲で起きており、村がほぼ壊滅した例も珍しくなかった事などもあり、この病気の怖さを知らない人は多い。現在は史上最悪の流行状態だというのに、感染病の基礎知識を持たない人やウイルスが自国内でも暗躍している事を認められない人がリベリアには大勢いるという▼病気の実態を知らない人々は〃呪い〃によるものだと考え、「人道主義団体から寄付をせしめるための政府の策略だ」と言う人すらいる。自分も感染して命を落とす可能性が強いのを誰よりも理解し、同僚を失ったりしながらも現場で奮闘する医師達に石を投げつけたり、病院に攻撃を仕掛けたりする例すらあるのだ▼折角治った患者の中には、自分の所属するコミュニティに戻れば何をされるかわからないため、地元に帰れない人もいるというから気の毒だ。「知らない」という事の怖さも改めて感じる。エボラ出血熱流行と聞いて駆けつけた医師やボランティアからも感染者が出ているのに、彼らが味わう焦りや恐怖心に思いを馳せる事が出来ない人や、患者の唾液や汗に触れても感染する可能性があると知らず、無防備で患者に触れて二次、三次感染する人も多い▼エボラ出血熱の怖さを知る医師達すら病魔に倒れる状況下では、知識もない人々への感染拡大は当然かも知れない。症状が出てからしか感染しないのだから、何とか防げるはずだと考えるのは素人ゆえか。最悪の事態も覚悟して戦う人々に感謝もせず投石との話は、毎日の生活の中でもありえそうな話だが。(み)